藤波辰爾は「昭和プロレス最後の砦」 「猪木さんのプロレスをつないでいきたい」決意、古希にして“一人”リングで暴れる「炎の飛龍」
【柴田惣一 今日も一緒にプロレスを楽しみましょう!】 命日(10月1日)を前に8日営まれたアントニオ猪木の三回忌法要に悲しみを新たにしたところに「虎ハンター」小林邦昭の訃報が届いた。昭和のプロレスファンは時の流れの残酷さを痛感したはず。 昨年12月には木戸修、キラー・カーンが、今年3月には吉江豊が50歳で急死。プロレスラーの平均寿命は短いと言われている。 馬場・猪木時代の選手の多くは鬼籍に入り「俺たちの時代」でもジャンボ鶴田は2000年に49歳で死去。天龍源一郎は龍魂節は健在ながら車イス姿。長州力はタレントとして活躍しているが現役は引退している。 そんな中、一人リングで暴れているのが「炎の飛龍」藤波辰爾である。古希(70歳)にしてさまざまな団体に登場。レジェンド同士はもちろん、バリバリのトップ、若手などあらゆる世代の選手たちとぶつかり合っている。 猪木の三回忌で藤波は「猪木さんを知る者がリングに立って、猪木さんのプロレスをつないでいきたい。猪木さんに『頼むぞ』と言われた気がする」としみじみ。常々、闘魂の継承を口にしているが、改めて決意を固めたようだ。 愛弟子で猪木イズムを身をもって知る藤波。日本にジュニアヘビー級を定着させ、ヘビー級転向後も長州との名勝負数え唄でプロレス界をリードしてきた飛龍への期待は大きい。 自身の団体ドラディション「DRAGON EXPO」(11月22日、東京・後楽園ホール)で、現在のジュニア界をけん引する新日本プロレスの高橋ヒロムと一騎打ちが決まった。レフェリーは獣神サンダー・ライガーが務めるという。 藤波、ライガーそしてヒロム。日本ジュニア史を彩った3人が揃い踏みとあって、早くも話題集中。しかも今や日本マット界は世界中のプロレスファンやレスラーに注目されている。日本だけでなく世界のプロレス界の視線が集中する11・22決戦といっていい。 藤波やライガーに憧れプロレスの世界に飛び込んだという選手も多い。ヒロムは「藤波さんは日本のジュニアの礎を築いてくれた方。そのジュニアを世界中に広めてくれたライガーさんが裁いてくれる。二人からバトンを受け取らなくてはいけない」と神妙そのもの。藤波も「勝ちに行く。猪木さんから教わったことに誇りがある」と記念試合にするつもりはない。リングに立つ以上、コンディションを整え、勝負にこだわる。それこそが猪木イズムなのだろう。