サッカーJ1・FC町田ゼルビア “存在が粗大ごみ”SNS誹謗中傷を告訴 オーナー藤田晋氏「もう限界…」罪に問われる境界線は?
「批判」と「誹謗中傷」…罪に問われる境目とは?
「めざまし8」では、若狭勝弁護士に誹謗中傷の境界線について解説してもらいました。 MC 谷原章介: 今回、投稿者に実刑が下る可能性もあるのでしょうか? 若狭勝弁護士: 実刑に至る可能性はかなり少ないと思います。刑事手続きというのは段階を踏んでいくので、何か罪を犯したとしても最初は起訴猶予といって「今回に限り勘弁してあげる、罰金にもしない」という。次に同じようなことをやったら次は罰金。罰金でもまた同じようなことをやったら今度は懲役刑の裁判にかけるけど執行猶予がつくと。それでもまた同じようなことをやったら裁判にかけられて今度は実刑と。 このようにステップを踏んでいくというのが今までのやり方なので、その意味においては、かなり被害者を傷つけるようなことがあったとしても、いきなり1回の初犯で実刑になる可能性は極めて低いと思います。 では、罪になる・ならないの境界線はどこにあるのでしょうか? (1)ミスをした選手に…「最悪なプレー。二度と○○を使うな!」 MC 谷原章介: 具体的に監督の名前が言及されていないし、使う・使わないというのは個人の人格をそこまで否定している感じでもないので、ギリギリセーフかなと思います。 若狭勝弁護士: 正解です。このSNS投稿は罪にならない可能性。誹謗中傷ということと、他方に論評とか意見というのがあって、この間はくっきりと分かれることはできないんですが、基本的には意見、その人の感覚、論評というような位置づけだと名誉毀損にはならないという立て付けはあります。 (2)ミスをした選手に…「この三流選手が!!もう選手辞めろ!!」 矢沢心氏: こんなことSNSに投稿してほしくないです。だけど、結局は論評とかで名誉毀損にならないっていうんだったらそうではないのかな…。 フジテレビ解説委員 風間晋氏: 「辞めろ」ですからね。会社で上司が部下に「辞めろ」って言ってパワハラみたいなことになるのと似たような状況じゃないのかなと僕は思います。 若狭勝弁護士: これは名誉毀損にあたる可能性があります。前提として「三流選手」というのがその人の評判を落とす可能性があるので。客観的には普通はしっかりとした選手であるにも関わらずそれを「三流選手」という形で決めてかかって言うというのは名誉毀損になり得る。 (3)ミスをした選手に…「全部○○のせい!!きょうから夜道に気をつけろ」 小室瑛莉子キャスター: これは脅迫ですよね。 若狭勝弁護士: その通りです。脅迫罪にあたる可能性があります。「脅迫罪」というのは、害とか悪を告げるときに成り立ち得る犯罪なんです。「夜道に気をつけろ」というのは不吉なことが自分に降りかかってくるんじゃないかということを印象づけるような話になるので、そういう意味では脅迫罪になり得ると思います。 MC 谷原章介: 例えば、好きなチームが負けたら一緒に観戦しに行った仲間と居酒屋でぐだぐだ愚痴ったりするじゃないですか。そこまではよしとしても、それを公的なSNSに書くことはNGということですよね? 若狭勝弁護士: そうです。名誉毀損が成立するというのは“公然と”という要件があります。公然とは、不特定多数に向けて言うということですから、仲間内で言うような場合は、公然性というのはそれほど満たされていないので名誉毀損にはなりませんが、SNSというのは公然性としてはすごいものがありますから、そこで言うと名誉毀損あるいは脅迫罪になり得ます。 (「めざまし8」10月16日放送より)
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