ドラマ「お別れホスピタル」の原作者、沖田×華さんに聞く、終末期医療の心構えとは?
終末期医療、どうする?まずは家族で話し合いを
kufura読者世代でも、介護や老後については他人事ではありません。自分や家族が将来、認知症になったり、病気やケガで動けなくなったときに備え、やっておくべきことを聞きました。 「元気なうちに終末期医療、こういう看護が受けたい等ということを、家族でちゃんと話し合っておくことが大事だと思います。意思疎通が取れなくなってしまうと、どういう治療をするのか?本人ではなく、家族が決めなくてはいけなくなるので。相続の問題もそうですね。でも、お年寄りとそうした話をしようとすると、“早く死んでほしいんか!?”と怒ってしまう人もいます。家族としては迷ってしまうから聞いているので、冷静に話し合えるといいのですけど」 沖田さんのお母さまもヘルパーさんとして働いています。この漫画がきっかけではないものの、将来について具体的に話すようになったそうです。 「ペットを飼っているので、ペット可のグループホーム(専門スタッフ、ヘルパーの支援のもと、集団で生活を行う施設)に入る、で間違いないよね?って。それで亡くなってからは樹木葬がいいと確認を取っています。周りに田んぼがあって、フラッと立ち寄って手を合わせて帰る。それいいじゃん!と」 沖田さんご自身も、どんな最期を迎えるか?の理想があるそう。 「旦那は先に逝くだろうし、おばあちゃんになったらきっとひとりぼっち。そこで温泉付きの老人ホームに入り、温泉につかりながらヒートショックを起こして死ぬのが夢です。まず死因を考えてます(笑)。老人ホームのお風呂なら、そのまま放置されることもないでしょうし。セルフで湯かん(棺に収める前に、遺体を湯で清めること)も済ませられますしね! あと漫画家の女同士で、シェアハウスをしようとも話しています。それで孤独死しても大丈夫。あとはサクッと、家族葬がいい。そんなことを思っているんですよね」
kufuraで無料配信中!3巻カルテ16「夏木ハルさん」の見どころは?
ただいま、kufuraではドラマ化を記念して『お別れホスピタル』3巻の「カルテ16:夏木ハルさん」の回を無料配信しています。 「これも実際にいた患者さんの話をもとにしています。ターミナルに入院中の患者さんが誤嚥性肺炎と診断されます。肺炎は日本人全体の死亡原因の第5位。再発を繰り返しやすく、患者さんはえんえんと抗生剤を飲まなければいけません。薬の効きが悪くなると再発し、そのうちすべての薬が効かなくなっていきます。 病院としては治療をしたいのですが、母親の年金で暮らす一人息子は、“お金はいくらかかるのか? 治療はちょっと……”という感じで。人って、点滴をしているとかなり生きられるのですが、それは治療ではありません。本人にとっては地獄だな……と思うのですが、その息子は“今、死なれたら困る”とも。 その患者さんは看護師さんや周りの患者さんに気遣いを忘れない、とてもいい方で。一人息子を甘やかしてしまったんでしょうね。患者さんにはさまざまな問題を抱えた方がいらっしゃいますが、この年金の話は絶対に漫画にしようと思っていました」 神回との声もある「カルテ16:夏木ハルさん」をぜひご覧ください。終末期医療のみならず、親子関係などいろいろなことを考えさせるエピソードになっています。 撮影/小倉雄一郎(小学館)