「いまの西武にとても合う気がする」ベテラン野球記者が “ドラフト1位候補”154kmサウスポーにそう感じたワケは?…本人が語った「ある言葉」
今年もドラフト会議の季節が近づいてきた。注目選手のひとりに挙がるのが、関西大のエースで最速154kmを誇るサウスポー・金丸夢斗だ。春には侍ジャパンにも選出されるなど、競合も予想されるドラ1候補だが、ベテラン記者が「埼玉西武に合いそう…」と感じた理由とは? 《全2回の1回目/つづきを読む》 【写真】「“まるで丸太”のような太もも」「ユニフォームがパンパンの筋肉質」金丸夢斗の“スゴすぎる”肉体から繰り出される超剛球&現在の埼玉西武「期待の若獅子」たちのレアな練習風景も見る 今年5月11日、阪神甲子園球場、春の関西学生野球リーグ戦。 関西学院大を相手に、関西大・金丸夢斗投手(177cm77kg・左投左打・神港橘高)が、いつものように快調に投げ進めていく。 言わずと知れた学生球界No.1のサウスポー。左腕特有のぎこちなさがカケラも見えないボディーバランス抜群の投球フォームから、アベレージ145キロ前後の速球に複数の変化球を交えながら、コントロールも両サイドにピシャピシャ。だから、投げるたびに山のような三振を奪って、得点を許さない。ここまでの最速は154キロだという。
学生球界No.1左腕の能力
難攻不落の投球内容で、この日もアウトを重ねていく。 そこまで春のリーグ戦35イニング無四球。なのに、いきなり初回に四球を与えたが、最後の「ボール」はどう見てもストライクコース。それだって、考えてみればしょうがない。腕を振る瞬間まで両肩のラインを崩さないフォームだから、リリースポイントも見にくく、それでいて150キロ近いスピードなのだから、正直球筋も「見えない……」がほんとのところだろう。 球審が正面から見ても捉えきれないのだ。打者が横目で見ながら、重さと長さのあるバットで捉えようとしても、そりゃあミートするのがやっとのことだろう。 「試合前半のランナーのいない場面では、いい意味で適当に投げながら、必要以上に力まないように、熱くならないように。そう自分に言い聞かせながら投げるようにしています」 「いい意味で」と言葉を補ったとはいえ、適当に投げて145キロ前後。そこも驚きだが、珍しくボール3つ続けたあとの「カウント球」が146キロの外角低目。すでにして、プロの「立て直し方」だろう。 「そうですね……やっぱり“最速何キロ”みたいな報道のされ方することが多いんですけど、自分としてはいちばん自信があるのは、まずコントロールなんです。でも、コントロールだと地味な話にしかならないじゃないですか。ぜんぜん活字にしてもらえなくて」 そう話す精悍な笑顔が、誰かに似ている。若い頃の堤真一、いや宍戸開。どちらにしても、いかにもスポーツマンらしいスター性があふれる。 スライダー、カットボールで簡単にストライクを先行させて、速球でファールを打たせる。その速球と同じ軌道からスプリットを落として一丁上がり。そのスプリットも140キロ台前半だから、もう手に負えない。 そんな快刀乱麻のピッチングで、4回までヒット1本の5奪三振無失点。今日もこんな感じで後半6、7回まで投げて、涼しい顔でリリーフに後を任せてマウンドを降りるのか……と思っていたら、このタイミングで自分からマウンドを降りてきたから、みんなで驚いた。 数週間後の報道で、《金丸夢斗、腰挫傷でリタイア》。 さほど多くの「目玉選手」が見当たらない2024ドラフト。間違いなくその中心人物の一人が、投手にとって命に近い「腰」の故障。患部・程度は不明でも、夏からこの秋にかけてみんなが心配していた。
ドラフトの目玉左腕が「西武に合う」と思うワケは?
さて、その金丸夢斗投手が実戦のマウンドに待望のカムバックを果たしたのが9月8日のこと。その2日後の10日、プロ野球では埼玉西武ライオンズの今季パ・リーグ最下位が確定した。 実は今の西武は「金丸夢斗」にはとても合っているような気がしている。その理由、金丸投手の“ある言葉”に感じたのだ。 <次回へつづく>
(「マスクの窓から野球を見れば」安倍昌彦 = 文)
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