「野球で経験した最高の瞬間の1つです!」独立リーグ・香川時代の濃厚な経験/元オリックス・マエストリ「カルチョの国から」02
2012年から2015年までオリックスでプレーしたアレッサンドロ・マエストリ氏。4年間で96試合に登板して14勝を挙げた右腕は、NPB史上初のイタリア人選手としても知られる。同氏は現在、イタリアで野球用品販売店を経営しながら、3月6、7日に京セラドームで侍ジャパンと対戦する欧州選抜の投手コーチに就任した。カルチョの国で生まれた野球を愛する男が特別連載コラムをお届けする。 インタビュー・訳、写真=浦口雅広 【選手データ】アレッサンドロ・マエストリ プロフィール・通算成績
文化の違いに驚いた
2011年の冬、オーストラリアのブリスベン・バンディッツでプレーしていたときに知り合った日本人から、日本の独立リーグに属する香川オリーブガイナーズでプレーすることに興味があるか尋ねられました。 当時、シカゴ・カブスからリリースされ、MLBで投げるという夢を絶たれたあとだったので、日本行きは幸運を見つける素晴らしい機会だと考えました。それに、新しい習慣や文化、言語を学ぶことは、自分の人生にとって得難い経験になると、迷うどころか非常にうれしい気分で、2012年3月に香川県高松市に到着したのです。 最初の数日は、あらゆる文化の違いにめちゃくちゃ驚きました! スーパーに行ったとき、日本語が読めないので一体自分は何を買っているのかよく分からなかったのを覚えています。 移動手段は自転車しかなかったので、いつも寮の近くの決まったレストランに行っていました。メニューはすべて漢字、店員も英語を話せなかったので、注文するのに苦労しましたが、私が幸運だったのは何をオーダーしてもすべての料理がとてもおいしく、これで日本で問題なく生活していけると感じました。 香川で特に好きになった料理はうどんと焼肉です。しかし、5時、6時の早朝にもかかわらず、コンビニに行けば新鮮でおいしいおにぎりがいつでもどこでも買える国なんて、間違いなくほかにはないんじゃないかと思いました。 また、野球ではチームメート全員が軍隊のように大声を出して練習するのに最初は衝撃を受けました。誰も英語を話せず、コミュニケーションをとるのが難しかったので、これは私が日本語を勉強するほうが早いと思い、練習以外の時間は語学の学習にあて、練習中にはチームメートに新たに覚えた日本語を必ず1日5つ、話してみることを習慣付けたりしていました。