乱立するソフトバンクのMVP候補 本命は誰?
ソフトバンクは「勝てば優勝」という震える最終決戦を松田の感動的なサヨナラで決めてゴール。3年ぶり18度目のリーグ制覇を遂げた。優勝インタビューで、秋山監督は、「全員」「チームワーク」というキーワードを口にしたが、まさに故障者が出ながらも全員でカバーしながら144試合目にして、ようやく浴びた美酒だ。さて、気になるのは、5年以上の実績のある野球記者の投票によって選ばれるMVP。突出したタイトルホルダーなどのヒーローがいないため、その候補に何人もの名前が挙がる。 投手陣で先発マウンドに上がったのは、実に14人。「9人ローテーション」と言われるほど登録抹消を巧みに使いながらピッチャーを回してきた。その中でも軸となったのが、スタンリッジ、摂津、中田の3人。スタンと中田が揃って11勝、摂津が10勝で2桁トリオとなったが、投手陣では、むしろリーグナンバーワンの救援防御率2.38を誇ったブルペンからピックアップすべきだ。 中でも63試合に登板した五十嵐が44ホールドで防御率が1.52、サファテが64試合で7勝37セーブの数字を残して防御率は1.05。優勝を決めたゲームでも、先発、大隣の後を受けて、森、五十嵐、サファテとつなぎサヨナラのお膳立てをしたが、信頼すべき中継ぎ、抑えの存在こそが、ソフトバンクの必勝パターン。 福岡に腰を据えて評論活動をされている元阪神、ダイエー(ソフトバンク)、ヤクルトでプレーした池田親興氏は、ストッパーのサファテをMVPの大本命に推す。 「私が推すのはサファテです。1年を通じた安定感が素晴らしかった。五十嵐と共に勝ちパターンを作りました。それを支えているのは150キロを超えてくるストレートの球威と制球力。西武時代は、どちらかというと投げてみないとわからないという波のある投手でしたが、今季はストライクを取ることに苦労はしなくなった。7月に何度か救援に失敗しましたが、引きずりませんでした。私はマウンド上でメンタルのコントロールをできている部分を評価したいんです。広島、西武で気になったメンタルの弱さを完全に克服しています。阪神の呉昇桓やオリックスの平野より安定感は上でしょう。候補としては、五十嵐か、サファテかと悩むところですが、減点法で失敗した部分を差し引くとサファテが最有力じゃないでしょうか」 ストッパーのMVP受賞となると1981年に“優勝請負人”として、3勝6敗25S 防御率2.82の数字を残して、日ハムを優勝へ導いた江夏豊氏以来だ。ただ、前述の池田氏が迷ったようにセットアッパーの五十嵐にも、かなりの票が入るものと考えられる。セットアッパーのMVP受賞となると、2011年に中日の浅尾拓也が7勝2敗10S 45H 防御率0.41の成績を残して以来となる。