【オートレース】山陽の意地とプライドにかけて 松尾啓史が連勝発進~浜松G1スピード王決定戦
◆スピード王決定戦(G1、28日・2日目、浜松オートレース場) 正直、決して平等とは言いがたい。ホームの規模が小さいがゆえのハンデは間違いなくある。それでも、山陽の総大将として、エリアでただひとり年末決戦へと彼は突き進む。通算12度目のスーパースター王座決定戦トライアル出場を決めた松尾啓史が、これから濃密過ぎる一か月間を戦い抜いていく。 「一年間をしぶとく戦って、出場できたことはうれしいですが、SGでポイントを取って出るわけじゃないので(山陽地区成績1位でエントリー)、そこはちょっと他の選手たちに申し訳ないというか…。やっぱり少し恥ずかしいですよね。でも、山陽は全然SG開催がないですし(12年全日本選抜が最後)、そこは他場の選手と比べても結構不利だと思うんです」 ホームでのSG開催が巡って来ない因果はある。1995年デビューの24期生、浜野淳のVを最後に、ここ山陽からSGウィナーは誕生していない。今年こそ、次こそ、と長らく叫ばれ続けながら、山陽からタイトルホルダーはなかなか配給されない。 松尾は1999年に26期生として選手生活をスタートさせた。25年に達するキャリアの中で、これまで実に14度ものSG優勝戦出場を果たしている。しかし、銅メダルの3着3度が最高スタッツで、どうにも、こうにも、てっぺんまでたどり着くことができない。 「やっぱり最近は、とにかくスタートが本当に大事ですし、スタートのレベルと周りの整備技術がすごく上がっているんです。いい状態から、さらに上のエンジンを作らないといけないし、優勝するのは本当に厳しいですよ…」 それでも松尾は前を向き続ける。現在46歳。まだ時間は残されている。選手としてのピークをキープできるここ数年が真の勝負となる。「まあ、年を取ってきて、もちろん前に比べたら疲れるようにはなりました。でも、スーパースターも何日間の話だからね。そこは大丈夫です。スーパースターにいい状態で向かうためにも今節から準備は進めています。昔から良かった実績あるヘッドと新しいクランクは用意しています。ここでも結果を出して、いい状態で年末に行きたいです」 SSへ備えた下ごしらえの成果は早くも出た。今シリーズは初日、2日目と連勝ゴール。松尾らしい力強い、重厚感ある追い上げで白星を積み重ねた。 「前から冬の浜松はよく結果が出てくれて相性がいいんですよ! たぶんセットがうまく合ってくれるんでしょうね。一番いいエンジンがだめになってしまって、今年は2か月ぐらい勝てない時期もありましたが、何とか立て直してきましたね! ああ、山陽でまたSGをやってくれないかなあ(苦笑い)。地元で開催すれば、山陽の若手もSGでの働き方とかを見て学べると思うし、優勝戦も生で見せてあげたい。そうなれば大きな刺激になるし、山陽の選手たちの成長にもなると思うんです。 でもまあ、最近の山陽はミッドナイト開催がすごく多くて、走る機会がすごく増えてくれましたからね。たくさん走れば若手にはいい経験にもなりますし、これから速い選手がどんどん出てくれるんじゃないかと期待しています!」 今年こそ自身初のSGを。今度こそ山陽所属のSGレーサー誕生へ。松尾の冬はどんどんホットになっていく。その前に、まずはG1制覇だ。 浜松オートG1スピード王決定戦特設サイトはこちら
報知新聞社