中小企業に入社して初任給は18万円でした。これって平均より少ないですか?
中小企業に入社したAさん。大企業に入社した友人に初任給を聞いたところ、自分の給料より多くて驚いたそうです。初任給の平均はいくらなのでしょうか。学歴と会社の規模から、金額の差があるのか確認してみましょう。
学歴と会社規模による違い
まず、今年度新卒入社者における、学歴と会社規模による初任給の違いをご覧ください(※1)。なお、初任給にはいわゆる基本給に加え、各人の成績などに左右されず定期的に支払われる地域手当、住宅手当等の諸手当が含まれます。
<表1> 同学歴内では、会社規模による差はさほど大きくないようです。ただし、ここ最近の働き方改革や消費者物価上昇を受けて企業の賃上げ傾向が本格化しており、初任給の大幅引き上げに踏み込む動きも顕著になってきました。 来年度以降も同様の傾向が続くと、大企業と中小企業の格差が広がっていく可能性もあるでしょう。
その他に何が影響するのか
Aさんが大卒であれば、たしかに大きな差ですから驚いてしまうでしょう。でもこの表からはそこまでの差は確認できません。他に、初任給に影響するのはどのような事項でしょうか?以下に挙げてみました。 (1) 地域(大都市圏とその他など) (2) 働き方のコース(総合職と一般職、転勤型と地域限定勤務など) (3) 業界 (4) 職種 (5) 個人の専門性(新卒でも年収1000万円など) 厚生労働省の令和元年の調査資料(※2)では、都道府県別の大卒初任給平均額の上位3位は、東京(22万500円)、千葉(21万1700円)、神奈川(21万800円)でした。 低い方は、沖縄(17万5000円)、宮崎(18万8000円)、秋田(19万100円)となっており、20万円未満の都道府県が22と半数近くありました。あくまで平均値ですが、地域による幅はある程度存在することが分かります。なお、この調査時点での大卒全国平均は21万200円でした。 さらに、同じ会社内で金額水準に差が設けられているケースとして、(2)のように働き方の選択の違い、業務や責任範囲の大小による違いがあります。初任給が低めになる条件に複数同時にあてはまれば、さらに全国平均より差が広がることが考えられます。 Aさんの初任給は、会社規模に加え、就職した地域や働き方の選択など、何らかの条件が影響しているのかもしれませんね。