12月ロイター企業調査:トランプ次期米政権、約8割が関税を警戒 現行戦略は維持
Maki Shiraki [東京 12日 ロイター] - トランプ氏の米大統領復帰が経営環境に与える影響について、7割超がマイナス方向でみていることが12月のロイター企業調査で分かった。「関税引き上げなどの通商政策」を理由に挙げる声が78%と圧倒的多数で警戒感の強さがうかがえるが、その対応のために現行の事業戦略を見直す企業は少数派だった。 <関税への警戒強い、為替変動への懸念の声も> トランプ氏の大統領就任の影響についての回答は「マイナス」が3%、「どちらかといえばマイナス」が70%に上った。 来年の業績への影響で最も懸念する材料としても、トップの「国内景気」(46%)に次いで「米国政治」が30%を占めた。トランプ氏の「米国第一主義」に基づく関税引き上げに対する日本企業の警戒感があらためて浮き彫りとなった格好だ。 しかし、関税引き上げへの対応については「現行戦略を維持」が67%と最多で、米国以外の市場開拓(8%)や米国生産の拡大(6%)を大きく上回った。「サプライチェーンの再配置」(卸売)といった自由回答もあったが、概ね現状を維持しつつコスト削減(22%)で大統領の任期4年をしのぐ方針とみられる。 トランプ氏は11月25日、就任初日にメキシコとカナダからの全ての輸入品に25%の関税を課し、中国からの輸入品に追加で10%の関税を課すと表明。ロイターの調査はその後の27日─12月6日に実施した。調査票発送企業は505社、回答社数は236社だった。 足元ではトランプ氏が公約に掲げる政策を織り込むなどして円安基調が続いているが、同氏は日本の対米貿易黒字、それを支える円安に批判的だ。このため、トランプ氏の大統領就任をマイナスとみるその他の要因には「円安の傾向がどうなるか」「円高によるインバウンド需要の減退」(いずれもサービス)といった為替の影響に対する懸念もあった。 <3割弱はプラス方向見込む、規制緩和や停戦に期待> トランプ氏の大統領復帰を「プラス」とみる企業は0%だったが、「どちらかといえばプラス」との回答は27%だった。その理由としては「エネルギー政策の見直し・環境規制の緩和」と「減税などで米国内の需要が拡大する」がいずれも5割を超えた。 米中対立の激化はマイナス要因として挙がったものの(47%)、「脱中国の加速」(ゴム)、「対中貿易政策の見直し」(紙・パルプ)がむしろプラスに作用するとの見方もあった。 トランプ氏はロシア・ウクライナ戦争、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦を目指しているため、「停戦による原油価格の安定」(建設)がプラス要因となるとの声も出ていた。 <2025年の相場見通し> 今回の調査では、25年の日本株、ドル/円、長期金利の見通しも聞いた。 日経平均株価は3万8000─4万円未満との予想が46%と半数近く、次いで3万5000─3万8000円未満が30%だった。 ドル/円は140─150円未満との予想が60%。国内10年金利は1.0─1.2%未満が42%、0.8─1.0%未満が35%だった。