戦争犯罪を裁く国際裁判所は「正義」をどう実現しようとしているのか 「人道に対する罪、座視しない」「法の支配を促進する」…2人の日本人裁判官が語ったこと
ICJで扱われる紛争件数は近年増えています。ICJが国際社会の多くの国から信頼を得ていることを示していると思います。かつては国境や海洋境界画定紛争が多かったですが、最近は多様化していて、人権や環境を巡る紛争も多くなりました。 私は裁判官になる前は学者として40年以上、国際法の研究と教育を行ってきました。それを具体的な事件に適用するというのが今の仕事で、今までやってきたこととそう違いません。ここで扱う紛争は当事国の交渉で解決できなかったもので、政治的にもセンシティブで難しく、裁くのはなかなか大変です。誠実にルールを解釈し、事件に当てはめて結論を出すということを真摯にやっていくつもりです。 国際社会においては法の支配や、それを支え促進することが大事です。日本の方々には、それに貢献しているICJの活動をぜひ理解しサポートしてもらいたいです。 ▽略歴 いわさわ・ゆうじ 東京都出身。東大大学院教授(国際法)などを経て、2018年6月から現職。 ▽国際司法裁判所とは
オランダ・ハーグにある国連の主要な司法機関。国境紛争など国家間の争いを国際法に従って平和的に解決する役割を担う。当事国双方が同意した上で裁判を行う共同提訴と、一方の当事国が訴える単独提訴がある。裁判官は原則15人。裁判は裁判官9人で成立し、多数決で決裁。ウクライナは2022年2月、ロシアの侵攻には正当な理由がないとして提訴し係争中。