藤田寛之の全米2位が刺激に 最終戦で優勝した塚田好宣が55歳で思い描く海外ツアー転戦
<いわさき白露シニア 最終日◇24日◇いぶすきゴルフクラブ(鹿児島県)◇7074ヤード・パー72> 「お父さんと変わらない」塚田好宣が女子プロとタッグ【写真】 国内シニアツアー最終戦「いわさき白露シニア」の最終日にトップと1打差の2位タイからスタートした塚田好宣が、4バーディ・1ボギーの「69」をマーク。トータル11アンダーまで伸ばし、逆転で今季シニア初優勝、通算4勝目を遂げた。トータル10アンダー・2位にはシニアルーキーの飯田耕正。初日からトップに立ち、大会連覇がかかっていた宮本勝昌は「72」とスコアを伸ばせず、トータル9アンダーで3位に終わった。 昨年は2勝を挙げた塚田だが、今年の序盤は調子を崩し、初めてトップ10に入ったのは1カ月前の「福岡シニアオープン」。シーズン序盤は試合間隔が開いていたこともあり「ちゃんと練習できていなかった」。8月にツアーが再開し、試合が続くようになると「感じをつかめてきた」と徐々に調子を上げていく。そして、最終戦にして今年初の最終日最終組に入り、チャンスをしっかりモノにした。 現在は国内シニアツアーを主戦場に戦う塚田だが、若い頃から海外志向が強い。ゴルフの腕を磨くために東海大学を中退してアメリカに渡り、ニューメキシコ陸軍士官学校に進んだ。卒業後はSEルイジアナ大学に入学。それを中退して、プロ転向したのはオーストラリアという異色の経歴を持つ。レギュラーツアー時代はアジアンツアーにも積極的に出場し、英語とタイ語を流ちょうに操る。 シニア転向後は、米シニアツアーのQTを受けようと考えたこともあったが、コロナ禍により断念。今年、同い年の藤田寛之が「全米シニアオープン」で2位に入ったことで、「藤田が頑張っているのを見て、また行きたいと思いました」と海外への思いが再燃した。塚田は日本シニアツアー賞金ランキング上位の資格で2021年の「全英シニアオープン」に出場して8位タイ。22年にはハワイで行われた地区予選会を突破して、全米シニアオープンの本戦出場を果たしている。 最終日のラウンドでは、2週後に米シニア最終予選会を控える宮本に現地の状況を聞き、欧州シニアツアーの予選会に出たことがある横田真一とも話をしている。「海外のフィールドにも行きたいけど、いまは経費がかかるじゃないですか。現実的な話になっちゃうけど、ここで稼がないと来年は行くのが大変だなと思っていた」。夢を追うにはお金も必要。優勝賞金1000万円はその軍資金となる。 藤田は全米シニア2位で大きくポイントを稼いだのを足がかりに、来季のフルシードを獲得。宮本も最終予選会で狭き門を突破すれば、来季は米国が主戦場となる。「藤田と宮本が活躍してくれたら俺もうれしい。チャンスあるかな、みたいな」。長く同じフィールドで戦ってきた2人の成績が、世界での自分の位置を教えてくれると考えている。 このオフは55歳とは思えない引き締まった体を、さらにパワーアップさせる予定。「年を取れば距離はちょっとずつ落ちる。お尻が小さくなってきたから、下半身をトレーニングする時間を増やしていきたい。お尻が大きい方が飛ぶからね」。夢もお尻も大きく。55歳は世界へ出るチャンスを探りながらオフシーズンを過ごす。