新興国の債務再編巡る見直し、喫緊の課題-中国の台頭で交渉複雑化
(ブルームバーグ): 新興国を資本市場から締め出したままにしている政府債務再編の在り方を見直すよう世界金融のリーダーらが働きかけている。背景にあるのは中国が重要な貸し手として台頭し、途上国の債務再編交渉が複雑化していることだ。
ワシントンで閉幕した国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合で議論された最重要課題の一つが、貧困国の債務再編を支援するため新型コロナウイルのパンデミック(世界的大流行)期に考案されたいわゆる「共通枠組み」のイニシアチブをどのように修正するかという問題だった。
共通枠組みを発足させ管理しているIMFと20カ国・地域(G20)は、債務再編のスピードアップを目指し、いくつかの修正を行った。
新しいモデルの試金石とされるザンビアはデフォルト(債務不履行)から3年半を経て、債権者と最近合意したばかりだ。ガーナとエチオピアはそれぞれ2022年後半と23年に債権者への支払いを停止したが、現在も交渉中。
「この4年間は債務災害としか言いようがない」と話すグテーレス国連事務総長はザンビアの例を挙げながら、今のシステムは非効率だと批判。「これは逆効果以上のものであり、不道徳だ。間違っており、変えなければならない」と主張している。
デフォルトの沈静化が予想され、高利回り国のリスクプレミアムが急速に縮小する一方で、中国を除く新興国の政府は今年、推定4210億ドル(約65兆円)の債務返済に直面している。
中東情勢の緊迫化や米連邦準備制度が金利を高めにより長期にとどめるスタンスが招くリスク回避の動きと相まって、解決策を見いだすことは喫緊の課題となっている。
アムンディのマネーマネジャー、ジョー・デルボー氏(ロンドン在勤)は、「最終的にデフォルトの長期化によって本当の代償を支払うのはこれらの国の国民だ。投資家にとっては、デフォルトした債券が大幅なディスカウント価格で取引され続けるため、回収が実現するまでに時間がかかる」と述べる。