韓国の若者に大人気のメンズブランド「サンサンギア」 ディレクターが語るブランドのコア
日本の若い層は、デザインのディテールやコンテンツのナラティブ(物語性)を尊重する意識が非常に高い。だから私たちが作った製品が彼らのニーズに合致したのではないかと思います。
―今年3月には、フラッグシップストアを立ち上げた。
キム:私たちの最初のオフライン店舗の名前は「合井(ハプチョン)ストア」で、ソウル市マポ区の想像広場付近にあります。「サンサンギア」が見せたいテクニカルなムードを未来志向的かつ現実的に解釈し、店舗に溶け込ませました。
メイン素材にはステンレスを使っています。空間全体においては、ステンレス特有の冷たくて硬い雰囲気を中和させるために、フレームのないソファと大理石を随所に配置しました。外部の造園にも気を配りましたが、自然素材である石と苔を設え、内部素材と対比させながらバランス感を持たせました。
また、弘大(ホンデ)の中心地に位置する住宅建物として、建物に入居した店舗の変遷、つまり時間を可視化しようと考えました。過去の痕跡を取り除いた建物の骨格に特別な加工をせず、素材本来の風合いを生かしてインテリアを配置し、なるべくシンプルに空間をデザインしました。これにより、「サンサンギア」が持っている生き生きとしたムードうまく溶け込ませようと考えました。 また、窓やドアを大きくして開放感のある空間にし、外部とのつながりを強調しました。
―今後ブランドが目指す方向性を教えてほしい。
キム:「サンサンギア」は、伝統的なストリートウェアブランドの持つ多様性を追求しつつ、私たち独自のビジュアル言語を重要視しています。ストリートウェアブランドとして、これまでにはなかったアイデンティティーを持ちたいと考えています。例えばブランドを代表するアイテムである「ウインドブレーカー」は、季節性、機能性、ディテールなどにバリエーションを持たせ、一つのアイテムにおける多様性を持たせています。
ストリートファッションは衣服だけでなく、その存在自体が多様性を象徴する文化です。さまざまなジャンルを横断し、ファッションを衣類だけでなく、文化に拡張して見せるブランドでありたいと考えています。今後もローカルアーティストとのコラボレーションはもちろん、グローバルブランドとのコラボ、IP(知的財産)の活用など、多角的で立体的な活動をしていく予定です。そのためには、ブランドムードをもっと柔軟にすべく枠にとらわれない服を制作し、同時にコンテンツを通じたメッセージもより先鋭化したいと思っています。