共働きは”老後貧乏”を救う 「~の壁」を意識する人ほど損をする
“壁”にこだわる人ほど損をする!?
また、前述の「~万円の壁」を意識するのではなく、フルタイムでしっかり働けば、税や社会保険料は負担しなければなりませんが、その代わり収入の絶対額は増えますし、厚生年金保険料を納めれば、将来受け取る公的年金の金額も増えます。つまりあえて“壁”にこだわる必要もないのです。私の友人で経済エッセイスト、社会保険労務士の井戸美枝さんは、その著書『専業主婦で儲ける!』の中で、“年収の壁を意識する人ほど損する”と語っていますが、私も同感です。 さらにそうやって主婦がパートで働くことで、老後の資金を積み立てながら様々な特典を使って有利に運用していくことも可能になりつつあります。それが「個人型確定拠出年金」です。この制度の詳細はまた別の機会にお話ししたいと思いますが、現在国会で審議されている法案が成立すれば、専業主婦でもこの有利な制度を利用して税の恩典を受けることができるようになります。もちろん、“壁”を意識しなければ、現在でも利用することができます。 特に自営業の場合は、サラリーマンと違って、厚生年金がありませんから、よけいに自助努力での老後資金作りを考えることが大切です。自営業者の妻であれば、現状でも全く問題なくこの有利な制度はおおいに活用できます。 現状では「主婦のパート」は前述したとおり、家計の支えや娯楽・買い物といった自分の楽しみのために使うのが目的という方が多いと思います。それでももちろんかまわないのですが、発想を大きく変えて、「老後の生活のため」という目的に限定するのも一つのアイデアではないでしょうか。無理をせず、できる範囲で働くだけでも続けることができれば、老後貧乏に陥らないための強い味方になってくれるはずです。 (経済コラムニスト・大江英樹)