超富豪向け資産運用、豪州で活況-鉱業ブームで財を成した資産家多数
代わりにジョーンズ氏は従業員5人のファミリーオフィス「ホープリッジ・キャピタル」を設立。型にはまった売り込みにはほとんど興味がない。「誰かと一緒に投資するためには、その人と会い、その人を理解し、知り、一緒にいて心地よいと感じる必要がある」と語る。
ウエスタンオーストラリア州の他のファミリーオフィスも、よく知っているということを求める。ファミリーオフィスの多くは、スワン川と海岸に挟まれたゴールデントライアングルと呼ばれる高級住宅地で徒歩圏内に集中している。
ランス・イースト・オフィスのエミリオ・パガーノ最高経営責任者(CEO)は、顧客の起業家精神に訴える長期投資について、十数人の同業者と定期的に話し合っている。ランス・イーストは、非公開のオンラインカジノ・ゲーム会社VGWホールディングスの創業者ローレンス・エスカランテ氏の資金と慈善事業を管理している。
パガーノ氏によれば、ファミリーオフィスの顧客は、ウエスタンオーストラリア州の鉱業セクターの伝統ゆえに、しばしばリスクを許容する。「鉱業の成り立ちについて考えてみればいい。世界で最も辺ぴな首都から何もないところに出かける。そこから300、400、500キロと運転し、砂漠のあちこちで鉱業資産を探し、採掘し始めるのだ」と語る。
人材の探し方
チャンスがあるにもかかわらず、遠隔地というのが対応する上での課題となっている。金融業界の大物と渡り合ったり、交渉したりする知識を持った人材はどこで探せばいいだろう。国勢調査によれば、フルタイムの金融サービスマネジャーや専門家は、シドニーの10万8000人に対し、パースには1万3000人しかいない。
ファミリーオフィスは通常、CEOまたは最高投資責任者(CIO)と10人程のスタッフによって運営されている。内部関係者によれば、創業者の事業運営に携わり、すでに信頼を得ているアドバイザーである人物がトップの座に就く傾向がある。