【大学野球】早大学院出身で森徹以来のプロ入り狙う 「リアル・殿馬一人」早大・山縣秀
大学代表不動の遊撃手
今夏の侍ジャパン大学代表はチェコとオランダで開催された国際大会で優勝。2大会を通じて「11戦全勝」という快挙を達成した。全11試合、不動の遊撃手を務めたのは早大・山縣秀(やまがた・しゅう、4年・早大学院)である。 【選手データ】山縣秀 プロフィール・寸評 正確なポジショニングで球際に強く、守備範囲が広い。ムダな動きが一切なく、送球も安定している。横から投げることに対して、一部で指摘する声も聞かれるが、早大・小宮山悟監督は「アウトにさえ、すればいい。時間を短縮できるのであれば」と意に介さない。山縣もスピードを最も意識している部分であり、いつでも上から投げることができる。 神宮では毎試合、スタンドをうならせるディフェンス力を発揮。7季ぶりのリーグ優勝を遂げた今春は初のベストナインを受賞した。課題だった打撃も、しぶとさが加わり、キャリアハイのリーグ4位の打率.366。バント、右打ちが得意で、最高のつなぎ役として、早大打線に欠かせない存在となっている。9月6日にはプロ志望届を提出。早大学院出身者では往年の名選手・森徹氏(元中日ほか)以来のプロ入りを狙っている。技術向上に励む上で、トップレベルを目指す選択をした。 「今の姿? 想像できません(苦笑)。4年生の秋に守備固めでベンチ入り。そこまでの力をつけようと思っていましたので……」 中学時代から成績優秀で、早大学院と早実に選択肢を絞り、前者を選んだ。その理由は。 「早実は学校が国分寺で、グラウンドは八王子と離れている。野球と勉強との両立は難しいかな……というのは建前で……(苦笑)。早実は伝統的に打撃のチーム、というイメージがありまして、守備キャラの自分は難しいかと……。体も細かったですし……」 中学の学校評定をクリアしていた自己推薦入試に、狙いを定めた。ただ、万が一に備えて、一般入試の準備も並行して進めた。「中学3年夏、入塾テストはE判定でした(苦笑)」。山縣はここから本気で受験勉強に着手し、半年あまりで偏差値を30以上、アップさせた。 野球は高校で一区切りにするつもりだったが、仲間の情熱に心が動かされた。 「早大学院の同級生・薗部将大から『一緒にやろうぜ!』と誘われまして……。やらないで後悔するよりは、やって後悔したほうが良いかと思い、大学で野球を続けました。薗部はこの春、初めてリーグ戦の打席に立ち、涙が出るほどうれしかった。8月の新潟・南魚沼キャンプも同部屋で、切磋琢磨してきました。最後、良い形で学生野球を締めたいです」