個人店の廃業が相次ぐ“6000億円”ラーメン市場の中で急成長する「人気ラーメンチェーン」2社の勢い
“3240億円市場”を攻めるラーメン魁力屋の戦略
前出の富士経済のマーケティング調査の結果を徹底分析したラーメン魁力屋は、最新の市場規模及び需要と競争の実態を把握し、自社の出店可能店舗数を算出している。 そして、理論上の未開拓市場を3240億円と推計し、国内出店可能店舗数を約700店舗と想定。直営店とFC加盟店の適度なバランスを維持しながら、概算で約600店舗ある自社の出店余地に対して、それを上回るように確度の高い計画を策定。730店舗をタイプ別に仕掛けていくとのことだ。 まず直営店が先頭を切り、未開拓の地域を中心に出店していき、その成功モデルを持って、各地域のメガフランチャイジーにドミナント出店を促すことを視野に置いている。そして、潜在需要を顕在化させるための、出店を確実に展開していく計画だ。
ラーメン魁力屋の強みはこの3点
さらに、世界でも通用する地域ブランドである京都をフルに活用して海外展開を積極的に進めている。それらを踏まえて、短期・中期の計画を確実に遂行し、長期の成長戦略に繋げているのがラーメン魁力屋だ。その強みをまとめると次の3点になる。 1)幅広い客層に対応できる商品力 京都背脂醤油ラーメンを中心に、幅広いお客さんに受け入れられるラーメンに仕上がっている。 地域の嗜好性に左右されにくい商品で全国に多店舗展開できる標準的ラーメンである。あまり個性が強すぎると市場を限定してしまうから、採算がとれるようにボリュームゾーンの嗜好に合致する味を基本とする。注文時に麵の細さと固さ・背脂の量・ネギの量をタッチパネルで指定するなど、カスタマイズ化したラーメンに仕上げて提供している。 2)多様な店舗タイプ 多様な店舗タイプを展開し、 ①郊外ロードサイド(現在102店舗)②商業施設内フードコート(現在27店舗)③駅前ビルイン(現在7店舗)などに効果的に出店している。 3)多面的な運営形態 直営店における豊富な運営実績と成功事例をもって、素人でも早期にビジネス展開が可能な FC加盟店及び 独立店による出店体制を確立している。経営理念共同体の確固たる基盤の確立で、市場シェアの拡大によるスケールメリットを享受する良好な関係の構築に努めているようだ。 本部と店舗の一体感も醸成されており、本部が掲げた経営目的と目標を収益の源泉である店舗が理解し、愚直なまでにも突き進んでいるのがよくわかる。 毎年、1年に一度のペースで、感謝祭(無料ラーメン券の配布)を実施して集客の起爆剤にしている。その際、必ず営業時間前に行列ができているが、筆者の訪問した魁力屋では営業時間前でも店を開けて、待つお客さんを入れていた。行列が嫌で帰るお客さんを極力減らし、機会損失の防止に努め、また少しでもお客さんの混雑状態を解消したいとの、姿勢と対応は感心する。そういった何気ない姿を見てますますファンになる顧客もいるようだ。