40代、50代、更年期症状の悪化もメンタル不調もタンパク質不足が原因だった!
タンパク質が不足すると、メンタルの不調も起きやすくなる
さらに、タンパク質はメンタルにも深い関係が…。 「タンパク質は、メンタルに関係する神経伝達物質やホルモンの材料にもなります。例えば、意欲や集中力を高めるのに大切なドーパミンや、“幸せホルモン”とも呼ばれ精神を安定させる働きのあるセロトニン、眠りの質を司るメラトニン、興奮を抑えて気持ちをリラックスさせるGABAなどを作るのにタンパク質が欠かせません。 ですから、タンパク質が不足すると、やる気が出なくなって本来の自分の能力を発揮できなくなったり、訳もなく憂鬱になるなど情緒不安定になったり、睡眠の質が悪くなったりと、メンタルの不調につながります。 私自身も、栄養に無頓着だった若い頃は、いつも頭がぼんやりしていて、やる気がなく、何でもすぐ諦めてしまう人間でした。それを生まれ持った性格だと思っていたのですが、栄養学を学び、食事でしっかりタンパク質をとるようになると、やりたいことが次々に出てくるなど明らかに変わったので、今思えば、原因はタンパク質をはじめとした栄養不足だったのだと思います」
そのほか、あまり知られていないが、タンパク質は、40代、50代の女性にも多い悩みである“むくみ”とも深い関係が。 「むくみやすいのを体質と思っている人も多いと思いますが、病気でむくむ人は別として、むくみやすくなる大きな原因はタンパク質不足からくる脱水です。血中のタンパク質が減ると、血液はタンパク質濃度を維持しようとして、水分を血管の外に出してしまいます。その水分を受けた組織が水ぶくれのようになって、むくんでしまうのです。朝起きたときなどに、まぶたがむくみやすい人もタンパク質不足の可能性が高いです。 むくんだときはカリウムをとりましょうとよく言われますが、実はタンパク質不足が原因のことが多いので、その場合はいくらカリウムをとっても改善しないのです」
タンパク質をとっていても消化吸収できないと、タンパク質不足になる
このように大事なタンパク質だが、実はしっかりとっているつもりでも、多くの人が不足しているとか。 「40代、50代の女性は、健康意識が高く、野菜をたくさんとって、肉や油は控えめにしていることが多いように思います。そのせいで、摂取するタンパク質量が減っている人が多数。それだけでなく、タンパク質をちゃんと消化吸収できていない人も多く、さらにタンパク質不足になっている人も。 お肉をたくさん食べると、胃もたれや膨満感などの不調を起こしたり、下痢や便秘になったり、においの強いガスがたくさん出るなどといった症状が起きる人は、タンパク質が消化吸収できていないサインです」
タンパク質は摂取量を少しずつ増やして、消化吸収できる量を増やしていくのがポイント
では、消化吸収を考えたとり方とは? 「食べるタンパク質の量を少しずつ増やしていくことですね。胃もたれなど不調にならないように気をつけながら、❝気持ちよくお腹いっぱい❞を目安に、少しずつ食べる量を増やしていく。そうすると、消化吸収に必要な消化酵素や胆汁酸(これらはタンパク質から作られます)が十分に生成されて、タンパク質をしっかり消化吸収できるようになります。 年だから食べられないと諦めず、肉、魚、大豆など、種類の違うタンパク質をとるようにし、時間をかけて、ゆっくりと増やしていきましょう」 PHOTO/shutterstock 取材・文/和田美穂