【社説】衝撃的な「NLL北攻撃誘導」メモ、徹底的に真相究明を=韓国
警察の国家捜査本部がノ・サンウォン元国軍情報司令官を捜査する過程で、北朝鮮の軍事挑発を誘導する「北風工作」状況が捕捉された。警察はノ元司令官が不名誉除隊後に占い師として活動していた京畿道安山市(アンサンシ)の店舗から「北方限界線(NLL)で北の攻撃を誘導」というメモが書かれた手帳を確保した。ただ、実際に行動があったかはまだ確認されていないと警察は説明した。かつて国軍の核心要職にいた予備役将星からこうした発想が出てきたことだけでも衝撃だ。ノ元司令官は陸軍士官学校3年先輩の金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官を支援して12・3非常戒厳事態を主導したと指摘された人物だ。 仮に戒厳の正当性を前面に出すために軍事的衝突を誘導しようとしたという疑惑が事実なら、とうてい許されない重犯罪だ。外部の勢力を引き込んで国家の存立を危険にする行為は外患罪であり、最高で死刑が宣告されることもある。憲法77条は「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態」に限り大統領が戒厳を宣言することができると規定している。今回の非常戒厳の首謀者も北朝鮮の挑発がない状況では戒厳の正当性を得にくいという点をよく知っていたはずだ。金前長官は北朝鮮の汚物風船に原点打撃で対応し、北朝鮮を挑発しようとしたという疑いも受けている。 非常戒厳関連の捜査が加速しながら、乱れた軍の紀綱も表れている。予備役将星というものの現在は厳格に民間人であるノ元司令官が現職情報司令官と大佐らをハンバーガー店に呼んで戒厳を謀議したという証言はあまりにも非常識であり、言葉を失う。当時の会合に出席したムン・サンホ元情報司令官は拘束状態で捜査を受けている。ノ元司令官が戒厳宣言当日に金前長官に会った後、京畿道城南市板橋(ソンナムシ・パンギョ)の情報司令部の事務室に戦車部隊長まで待機させたという証言も出てきた。こうした疑惑が事実なら、敵陣に浸透する高強度訓練を受けた特殊部隊員だけでなく、軍の核心戦力である戦車部隊までも民間人が操ったということだ。 ノ元司令官の手帳からは「国会封鎖」「射殺」「政治家・ジャーナリスト・宗教人・労働組合・判事・公務員など収去対象」というメモも確認された。「収去」という表現は逮捕を意味するとみられる。一部の対象者の実名も手帳に記載されていたという。いくら戒厳状況でも明確な犯罪容疑がない民間人を逮捕して身体の自由を剥奪するのは反憲法的な行為だ。特に三権分立の一つの軸である司法府の判事の逮捕は過去の軍事政権当時にもなかった発想だ。ノ元司令官が背後から現役軍人に正式編成にもない情報司令部「捜査2団」組織を設置させ、選管委のサーバーを確保しようとしたという疑惑も提起された。警察をはじめとする捜査機関は徹底的な捜査で各種疑惑の真相を一つ一つ明らかにし、責任者を厳罰しなければいけない。