【惜別球人】阪神・秋山拓巳 新たな役職で野球振興へ「プロ野球選手は凄いんだぞ、と子供たちに見せる」
今年も10月下旬のドラフト会議で将来のプロ野球界を担う有望な若者たちが指名されて夢だったプロの門を叩いた一方、多くの選手がユニホームを脱いで新しい人生をスタートさせることになった。去りゆく選手を2回に分けて紹介する年末恒例の「惜別球人」。第1回はセ・リーグ編、阪神・秋山拓巳投手。 今月20日、阪神・秋山は新たな役職で“初仕事”をこなした。徳島市内で開かれた県内の小中学生約60人を対象とした野球教室。背番号21のトレーニングウエアを着てフリー打撃に登板するなど、子供たちと同じ目線で約2時間にわたって指導した。 「小学生は口で言っても体で表現できる子は少ない。中学生には伝え方が大事。教えることがこんなにも難しいとは思わなかった」 来年1月1日付で球団に新設される新部署「野球振興室」。ベースボール・アンバサダー(BA)に就任を前に、身に染みて感じたことは口で教えるよりも行動すること、一緒に体を動かして野球の楽しさを伝えること。そして「プロ野球選手は凄いんだぞ、と子供たちに見せることが大事」だと気づいた。 9月24日の引退試合を終え、知人や友人からねぎらいの宴席が多くなってもトレーニングを継続してきた。妻に「少しぐらい休んだら」と言われても、毎日自宅から近所のジムへ車を走らせ、有酸素運動やウエートトレーニングも制限なくこなし、体重も現役時代と変わっていない。「いつか“あの野球教室に出てました”と言われたい。汗をかいて野球の楽しさ、魅力を伝えていきたい」。秋山先生の授業は来年から本格化する。(石崎 祥平) ◇秋山 拓巳(あきやま・たくみ)1991年(平3)4月26日生まれ、香川県出身の33歳。西条(愛媛)では3年春夏に甲子園出場。09年ドラフト4位で阪神入団。高卒1年目の10年9月12日のヤクルト戦で無四球完封勝利を挙げるなど4勝。17年は自己最多12勝。1メートル88、101キロ。右投げ左打ち。