「遺産分割」「節税」「納税資金」の3つの対策でメリットだらけ!生命保険はなぜ、相続対策に有効なのか?【相続専門税理士が解説】
生命保険は「遺産分割」にも活用できる
死亡保険金は、保険契約で指定した受取人の固有の資産となります。そのため、相続人が相続放棄した場合であっても、受け取ることができます。つまり、遺産分割を行わなくても確実に相続人のものになる強力な財産なのです。 たとえば、相続財産として預金1億円を長男、次男、三男の3人で相続する場合を考えましょう。この1億円をどのように分けるか、遺産分割協議によって決めなければなりません。しかし、同じ1億円であっても生命保険であれば、あらかじめ受取人を指定しておくことができるので、遺産分割協議は必要ないのです。 遺産分割で争いが起きそうな場合は、生命保険の活用を検討するとよいでしょう。
生命保険による「納税資金作り」は、早めの試算が重要
相続税を納める際、相続人が取得する財産が事業用不動産や非上場株式などの換金性の低いものばかりであるときには、納税資金が問題になります。相続税を支払うためには、現金が必要となるからです。また、他の相続人に対する代償分割の問題が生じ、そのための現金も必要になります。 それゆえ、早めに子供たちへ金融資産を贈与する、不動産所有法人から子供たちに給料を支払って現金を貯めておいてもらうなど、早めの納税資金対策が必要です。 この点、納税資金対策として、生命保険を活用することができます。生命保険には、図表3のような種類があります。 遺産分割協議が難航して相続発生時から10ヵ月以内に相続税を納めることができず、銀行預金口座が凍結されてしまったとしても、生命保険があれば大丈夫です。死亡保険金を遺産分割の対象とする必要はなく、保険会社へ書類を提出すれば数日間で現金が支給され、葬儀費用や病院への支払いに充てることができるのです。 そして、死亡保険金は、民法上は受取人の固有の財産とされるため、遺産分割協議の対象とはならないことから、遺留分減殺請求の対象ともならず、法定相続分にかかわらず受取人が現金を確実に取得することができます。 相続人がいくらの相続税を支払う必要があるのか生前に試算しておき、そのために生命保険金がいくら必要となるのか、早い段階に計算しておくことが必要でしょう。