八村塁のNBAドラフト1巡目9位指名の裏側
いや、ウィザーズは、今年のファイナルを制したラプターズのマサイ・ウジリ社長を引き抜こうとしたが、ラプターズから莫大な補償を求められて交渉が頓挫したと伝えられたばかり。ウィザーズ側が、一部メディアを通して年俸1000万ドル(約10億7000万円)とマイノリティーオーナーになる権利を与える、という観測気球を上げたが、どうやらラプターズ側から、相当な反発があったよう。 最終的には、すでに面接したサンダーのフロントにいたトロイ・ウィーバーか、ホークスとキャバリアーズでGM経験のあるダニー・フェリーがGMに就任するのかもしれないが、ウィザーズはGM 不在でドラフトを終え、さらには6月30日から始まるフリーエージェント選手との交渉解禁日を、GMがいないまま迎えようとしている。 そもそもなぜ、八村を指名したのか、という疑問が残る。 八村は、ドラフト候補選手の多くが参加する5月中旬のNBAドラフトコンバインには参加せず、チームから個別ワークアウトの要請があった場合、現地へ飛んだ。それが何チームだったのかは「言えない」と八村は明かさなかったが、ワシントン・ポスト紙によれば、ウィザーズは八村に声をかけていないそうだ。 先月28日に八村が所属する代理人事務所のワッサーマンが、自分たちが抱える選手たちを集めて「プロ・デイ」を開催した時には、ウィザーズも足を運んだが、そこには全チームのスカウトらが顔を揃えており、むしろ、いない方がおかしい。 実際にはそれ以前に、ウィザーズの社長代理で、かつては編成部門の副社長を務めていたトミー・シェパードが、2016年2月にNBAがトロントで主宰した「国境なきバスケットボール/グローバルキャンプ」に参加した八村を見て興味を持ったという。そしてもちろん、ゴンザガ大時代もマークを続けた。 むろん、その程度のつながりならどのチームも持っているはずだが、指名の決め手になったのは、ドラフト当日の朝、スコット・ブルックスHCが、ゴンザガ大のマーク・フューHCにかけた電話か。ワシントン・ポスト紙によれば、フューHCは、「八村は、毎日一生懸命練習する。ディフェンスなどは心配することはない」などと伝えたそう。その後、指名の方向性が固まっていったとされる。 結局、ウィザーズの八村に対する覚悟が本物かどうかは、これからわかる。