親に内緒で購入、スマホに依存…海外生活でデトックス、大学受験で「道具」として使うまで
食事と入浴時以外はスマホを肌身離さず持ち歩くといった生活から抜け出せない受験生がいる一方で、自らスマホの誘惑を断った人もいます。その一人、スマホ依存から脱却して、早稲田大学に合格した中浦晃希(こうき)さん(国際教養学部3年)に話を聞きました。 【写真】東大に「学校推薦」で入学、どんな対策を? 留学、部活、志望理由書…合格者が語る
――東京都の調査(2022年度)によると、都内の中学生のスマホ所有率は約85%、高校生は95%を超え、早い年代からの利用も増えています。中浦さんはいつからスマホを持ち始めましたか。 千葉県から東京都内に引っ越した中学2年のときです。千葉県の中学では吹奏楽部の活動に打ち込み、スマホなしの生活だったのに、転校先の中学ではクラスの大半がスマホを持ち、動画やSNSの話題で盛り上がっていました。僕もスマホを欲しかったのですが、両親が厳しくて許してもらえなかったので、親に内緒で秋葉原にあるデジタル機器のジャンク品を扱う店に行き、5千円でスマホを買いました。データ通信やカメラなど一部の機能は使えなかったのですが、Wi-Fi環境さえあればLINEやYouTubeにもつながりました。 ――スマホを持ち始めてから、どのように使っていましたか。 当時はやっていた「異世界もの」と呼ばれるYouTubeのアニメに夢中になりました。毎晩10時ごろベッドに入り、30分の連続アニメ12話分を視聴して、気づくと明け方になっていることもありました。スマホの見過ぎが原因で、学校の授業中はいつも眠かったです。中学3年になり、高校受験に集中しなければいけない時期も、友達とアニメの話ばかりしていました。自分がスマホ依存だという自覚はありましたが、抑制できませんでした。その結果、目指していた大学付属高校は不合格になりました。入試の1年前の模試では合格圏内だったので、まさかとショックを受けた一方、成績が伸びていなかったので、やっぱり落ちたかと自分で納得する気持ちもありました。
不本意な入学で切り替えた気持ち
――進学したのは別の私立高校でしたね。 滑り止めとして併願した近所の私立高校に進学しました。不本意な入学でしたが、入ってすぐに受けた模試で学年トップになったのをきっかけに、目が覚めました。「絶対に成績上位をキープしよう。中学のときのような過ちは繰り返さない」と、大学受験に向けて気持ちを切り替えたのです。両親には、隠れて持っていたジャンクスマホのことを正直に打ち明けました。すると模試が好成績だったこともあり、親がアプリ利用や動画視聴に制限がかけられる格安スマホを買ってくれました。しかし、そのころにはアニメ熱も冷めていたので、学業に没頭し、高1で評定平均4.3、高2からは4.8を維持しました。 通った高校は国際教育に熱心で、英語の成績もよかったので、奨学金を給付してもらえることになり、高校2年の夏に5カ月間、大自然が広がるニュージーランドのクライストチャーチに留学しました。留学先にスマホは持っていかず、放課後は毎日、友達と海に入ったり、タックルなどの危険なプレーがないタッチラグビーで体を動かしたりしました。ネットにつながっていなくても楽しいことがたくさんありました。日本にいたときは無意識にスマホに手が伸びていたのに、自分の中で何かが変わる感覚がありました。