横浜とロッテに生じた動員の怪現象的格差
スポーツビジネスの原則に忠実な横浜
真夏の怪奇現象がプロ野球界に起きている。 プロスポーツビジネスは、チームの勝敗と、観客動員が比例すると言われている。つまりチームが勝てば、チケットを買ってくれるファンが増えるという鉄板の法則だ。8月12日現在で、セの横浜DeNAは、連敗を9で止め現在42勝58敗で5位、一方、パの千葉ロッテは52勝45敗2分で2位。なのに横浜は、前年比プラス115%の観客度員を記録、逆にロッテは、昨年よりも97・4%と伸び悩んでいるのだ。 横浜は、巨人、阪神以下の4チームが、すべて借金状態の中で3位争いを演じるという特異なペナントレース模様が追い風になっている。球宴後、単独3位に入るのは6年ぶり。現在、4チームが3.5ゲームの中で、せめぎあっていて、クライマックスシリーズ出場圏内となるAクラス入りの可能性を残している。“負けているのに負けていない”という特異なセの現状が追い風となってベイファンの「もしかしたらクライマックスへ」という関心を呼んでいる。昨年は、ダントツの最下位だったから、なおさらである。 そういうチーム状況に加え、観客動員アップには、球団サイドの営業努力がある。まずはハードの充実、これも、欧米で発展したプロスポーツビジネスのセオリーと言われている顧客満足度アップの法則のひとつで、横浜スタジアムに手を入れた。“コミュニティボールパーク化構想”と名付け、スコアボードの全面ビジョン化やエキサイティングシート、個室観戦ルームを設け、コンコースや内野のトイレもすべて改修された。 また、これまで公式ファンクラブは、2つに別れていたが、「横浜DeNAベイスターズ公式ファンクラブ B☆SPIRIT友の会」として一体化に成功。会員が倍以上にアップしたという。インターネットチケット販売にも力を入れている。 「監督や選手がファンサービスを理解してくれて協力してくれていることも大きいです」とは、広報部の里見夏生氏。2日からの対中日3連戦は、『YOKOHAMA STAR☆NIGHT 2013』と題して来場者にペンライトとユニホームを配ったが、3連敗。それでも中畑監督が選手に声をかけて試合後のイベントのための挨拶に出たという。 各セクションから人を集めて営業プロジェクトを組み、IT企業らしいアイデアもいくつも出ている。昨年の「負けたら返金チケット」は、その代表例だが、今年は100万円の超高額チケットを話題作りで売り出した。23組もの応募があって、リムジンの出迎えやVIP席での観戦、試合後には、横浜の中華街で中畑監督、高田GMらと会食ができるという特典付きである。他にもビール飲み放題チケットやバブルヘッド人形付きチケットなどが販売されている。夏休み期間のイベントとしては、16日からの対広島戦の3日間に「キッズスタジアム2013」という企画が行われる。場内アナウンスや、グランドキーパー、取材体験などプロ野球の裏方さんの職業体験を子供たちにしてもらおうというもの。「キッザニア」という体験型のテーマパークが豊洲と西宮にあって大人気だが、そのプロ野球版。23日からの巨人3連戦では、「球場全体をお祭りにしてしまえ」というコンセプトで「勝祭(KASSAI)」という企画がプランされていて、縁日風の演出がされ巨大な神輿が繰り出される。