GWに咲く「孤高の山桜」 一つひとつに日本の美のDNA
このあたりの山桜は密集することなく、急峻な雑木林の中に一本ずつ点々と生えている。ソメイヨシノは一斉に咲いて散るが、山桜は木によって開花時期が違い、大木になるものもある。僕はその掛け値なしの野生の姿を、「孤高の桜」と密かに呼んでいる。厳しい山岳の気候に揉まれてきた山桜には、温室育ちのソメイヨシノにはない凛とした美しさがある。そこに、現代人が見失ってしまった本来の「日本の美」を感じずにはいられない。
---------------------------------------- ■内村コースケ(うちむら・こうすけ) 1970年生まれ。子供時代をビルマ(現ミャンマー)、カナダ、イギリスで過ごし、早稲田大学第一文学部卒業後、中日新聞(東京新聞)で記者とカメラマンをそれぞれ経験。フリーに転身後、愛犬と共に東京から八ヶ岳山麓に移住。「書けて撮れる」フォトジャーナリストとして、「犬」「田舎暮らし」「帰国子女」などをテーマに活動中