リーブス英財務相、経済基盤修復を約束へ-前政権の財政運営を非難
(ブルームバーグ): リーブス英財務相は29日の演説で、前政権から引き継いだ厳しい財政の状態をさらすとともに、英国経済の「基盤の修復」を約束する。
リーブス氏は、公共サービスに約200億ポンド(約3兆9500億円)の不足額が生じていたにもかかわらず、スナク前首相とハント前財務相らが率いた保守党政権が「財政の実態を隠蔽(いんぺい)した」と非難する。リーブス氏は、不要な外部コンサルタント雇用といった無駄な公共支出を取り締まるため、費用対効果を監督する部局の新設も発表する。
「選挙前に、第二次世界大戦以来最悪の遺産を受け継ぐことになるだろうと私は言った。だが、3週間前に財務省に着任してからは、私が知らなかったことがあると明らかになった」と、リーブス氏は29日午後に議会でこのように述べる予定だ。財務省が演説の抜粋を公表した。
リーブス氏は「国民に真実を率直に伝える時が来た」とも述べる。
この演説は、スターマー新首相が率いる労働党政権が、住宅、刑務所から医療、移民政策にいたるまで、深刻な財政状況を保守党政権から引き継いだという筋立てを形作るものだ。リーブス氏が今後の歳出削減や増税の責任を前政権に負わせるための下地となる。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、司法や地方自治体など保護されていない部門での支出削減を防ぐために、2028年から29年までに約200億ポンドを確保する必要があるという見解に同意しており、防衛、公共部門給与、福祉への締め付けを厳しくするとともに、「さらなる増税が避けられないもようだ」としている。
英国の独立した給与審査機関は、教員と英国民保健サービス(NHS)職員に対して5.5%の昇給を勧告した。政府が予算として計上していた3%の昇給率を上回る数字だ。
税率変更は、秋の予算までできない。リーブス氏は29日、予算責任局(OBR)に予算予測の作成を求めたことと、秋季財政報告の日程を発表する。また、近年のように年に2回ではなく、年に1回だけ主要な財政イベントを開催することを約束する。