『呪術廻戦』OP&EDに隠された“伏線”を分析 五条悟と夏油傑の“運命”を示唆した描写も
五条悟と夏油傑の“すれ違い”を示唆していた「懐玉・玉折」のED
TVアニメの第2期「懐玉・玉折」のOPは、キタニタツヤの『青のすみか』がテーマ曲として使われている。手拍子の音が組み込まれているのが特徴的な楽曲だが、OP映像ではそれに合わせて“拍手する人々の腕”が描かれていた。 何も知らない状態だとにぎやかな映像にしか見えないだろうが、「懐玉・玉折」において拍手は決してポジティブな意味をもつ行為ではない。というのも作中では、天元を絶対視する過激な宗教団体・盤星教の人々が、天内理子の死去を祝して拍手する姿が鮮烈なインパクトと共に描かれているからだ。 OP映像で拍手している腕は、その袖のデザインから推測するに、盤星教信者のもので間違いないだろう。呪術高専時代の五条たちの“青い春”を美しく切り取った映像と見せかけて、不穏なイメージがひそかに隠されていることが分かる。 また「懐玉・玉折」のEDでは、物語の主役である五条と夏油傑の運命を暗示するような演出がところどころに見られた。たとえば冒頭における、2匹の白い魚が出てくるカットだ。 片方の魚は“六眼”に近い水色の目、もう片方は黒い目をしており、それぞれ五条と夏油の目の色に対応している。この2匹がすれ違っていく描写は、運命を共にしていたはずの2人が決裂し、別々の道を歩むようになったことを示唆しているのではないだろうか。 さらにED映像の中盤では、夏油が水色の目をした魚から目を背ける一方、五条が黒い目をした魚に視線を向け続ける……というカットも。この対比は、決裂後の2人を描いた『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』を思わせる。同作において、夏油は五条との関係を「親友だった」と過去形で語り、五条は夏油を現在進行形の「親友」として語っていた。すなわち親友のもとを離れて新たな人生に踏み出した夏油と、決裂した後も親友を忘れることができなかった五条という対比だ。 なお同EDでは、後半のカットで一瞬だけ飛行機が上空を飛び去っていくところも描かれている。ネタバレになるため詳細は伏せておくが、原作の終盤では五条に関わる重大なシーンで飛行機というモチーフが登場していた。深読みかもしれないが、今振り返ると「懐玉・玉折」のEDにこの描写が差し込まれていたことには意図的なものを感じざるを得ない。 いつか制作されるであろうTVアニメの第3期では、どんなOPやEDが描かれるのだろうか。今後のメディアミックス展開によって、作品世界はさらに深みを増していくだろう。
キットゥン希美