「トリプルデミック」薬不足で追い打ち コロナ、インフル、マイコ“感染同時拡大”
■医師が「薬不足」に頭抱える場面も
さらに、この状況に拍車を掛ける大きな問題があるという。 伊藤院長 「何?お薬がない?」 看護師 「サワシリン(抗生物質)とアスベリン(せき止め)がない」 伊藤院長 「えー、ちょっと待って。サワシリンもアスベリンもないの」 それは、薬不足だ。 伊藤院長 「メジコン錠(せき止め)がないから粉にしていいですかって問い合わせが薬局から?」 薬不足の影響で、薬局からクリニックへ「錠剤ではなく粉薬でよいか」という問い合わせが。クリニックが許可を出すも…。 伊藤院長 「それで粉にしていいよって言ったら、今度は本人が粉は飲めないと」 看護師 「本人は飲めない」 伊藤院長 「52歳?粉は嫌だ?」 看護師 「はい」 伊藤院長 「やだっていうのはなあ。やだって言われてもなあ」 薬不足に頭を抱える場面もあった。 伊藤院長 「八方ふさがりって感じですね。あるお薬だけをお出しして、ちょっと何とか持ちこたえてもらうように、患者さんにご不便をお願いするしかない、最終的にはね」
■薬局では…薬が用意出来ないケース相次ぐ
薬不足が深刻化している現場を取材した。 薬剤師 「なかなかこれは入荷しない薬なので、なくなったらごめんなさい」 こちらの薬局では、薬が用意出来ないケースが相次いでいるという。 遠山薬局 薬剤師 遠山伊吹さん 「たん切りであったりとか、せき止め。あとは細菌に効く抗生物質も不足しています」 実際に薬が入っている棚を見せてもらうと…。 遠山さん 「(この薬は)これしかない状況ですね…」 インフルエンザやコロナウイルスなど感染症にかかった際に処方されるせき止め薬「メジコン」。通常なら1000錠以上の在庫があるはずが、わずか8錠しかない状態に。 薬をもらいに来た人 「せきの薬って、前と違うやつですよね?」 遠山さん 「以前メジコン(せき止め)という薬を出したんですけど、メジコンが出荷調整で全然流通していなくて…。(メジコンと)中の成分は一緒になりますので」 遠山さん 「1週間処方だと42錠が1人分なので、1人分にも満たない。この処方が来ても対応出来ないような形ですね」 さらに、せき止めや抗生物質の棚には「出荷調整」と書かれた紙がある。薬がない状態が続いているという。 発注は、毎日してはいるものの…。 遠山さん 「通常でしたら翌日入る物なんですけど、(入荷の)見通しが立ってない。1個でも入ってきたらいいなっていうような状況ですね」 発注画面を見ると“欠品”の文字が並んでいる。 遠山さん 「今、本当にコロナとかインフルとマイコプラズマ肺炎と感染症も流行していて、せき止めの需要も増しているので、より欠品が加速してるような状況」 薬不足のなか、大人に子ども用を服用してもらったり「大人用の薬を粉薬にして子どもに渡す」など、今ある薬で工夫しているという。 これからが感染症のピークとなるなか、不安もあるという。 遠山さん 「この状況が改善する見込みは全く立っていなくて、むしろより事態は深刻になってくる一方だと思っています」