幻想的な80人の大夜泳 白浜海女まつり 南房総(千葉県)
南房総の夏の風物詩「南房総白浜海女まつり」が20、21日、南房総市の野島埼灯台前公園広場で開かれた。「復興支援イベントまるグル」と同時開催され、2日間で延べ約2万5000人が来場。観光客や住民らが、海女の大夜泳やステージなどを楽しんだ。 県内最大級の夜祭りとして知られ、今回で60回目を迎えた。海女による潜水漁が盛んな地域で、海女操業の伝承を図り、漁の安全や豊漁祈願の願いも込められている。 平成25年からは「まるごみJAPAN」による復興支援イベントと同時開催。今年は、能登半島地震の復興支援の一環として、石川県輪島市の和太鼓奏者・今井昴さん(31)の演奏や輪島塗職人の小路貴穂さん(53)による塗器の販売などが行われた他、海女の早瀬千春さん(54)が大夜泳に参加した。 会場には、飲食や雑貨、キッチンカーなどが出店。ステージでのライブなどと共に来場者を楽しませた。夕方には、地元民による白浜大盆踊りが行われ、観光客らも一緒に白浜音頭の踊りの輪に加わった。 夜には野島漁港周辺で、和太鼓の演奏や船に乗った弁財天が龍神と戦う「弁財天と龍神の乱」が披露された後、海女の大夜泳へ。白い海女着に身を包んだ地元の海女と一般公募の参加者約80人が、左手に「まげ樽(だる)」、右手にたいまつを持って海に入った。 大きな円をつくるようにゆっくりと泳ぎ、たいまつの炎で水面がオレンジ色に染まる幻想的な光景をつくり上げた。フィナーレには花火も打ち上げられ、来場者らの拍手と歓声が響いた。 中学時代から毎年夜泳に参加しているという南房総市の井本彩(31)さんは、「夏の訪れを実感する行事。今年は波がなくて泳ぎやすかった。年々参加者が減っているので、若い世代が参加することで少しでも活性化につながったら」と思いを語った。