米高級EVメーカー、右ハンドル車の導入を検討 ルーシッド 「1年半後」目処に開発に前向き
右ハンドル市場に前向きな姿勢
米国の自動車メーカーであるルーシッドは、右ハンドル車の導入に前向きな姿勢を見せている。同社は2021年に電動セダンのエアを米国で発売し、先日電動SUVのグラビティを新たに公開したが、現時点ではいずれも左ハンドルのみの設定となる。 【写真】テスラに対抗する高級EVメーカー【ルーシッドが販売する「エア」と「グラビティ」を写真でじっくり見る】 (46枚) ルーシッドのピーター・ローリンソンCEOは、11月17日にロサンゼルスで開幕したLAオートショーで取材に対し「右ハンドルにしなければならない」と語ったが、「少なくとも1年半は必要」と強調した。 ローリンソンCEOは新型グラビティの生産開始を優先しつつ、ドイツや右ハンドルの英国など欧州市場にも力を入れるとした。「高級EVにとって、ドイツと英国は他のどの国よりも非常に大きな市場です」 「右ハンドルのエアを作らなければなりません。そのためには、おそらく1年半はかかるでしょうし、グラビティの設計と開発には主要なエンジニアチーム全員が携わっているので、本当にバタバタしています。グラビティは現在、ミネソタ州で冬季テストを行っています」 「また、テスラ・モデルYとモデル3の競合車となる中型車の開発プロジェクトにも取り組み始めています」 ルーシッドの “中型” モデルは2027年頃に登場する予定で、目標価格は5万ドル(約745万円)前後から、開発は順調に進んでいると見られている。 「当社は今、多くのことに取り組んでいます。右ハンドルのエアを作るのはかなりのプロジェクトで、少なくとも1年半はかかります」 テスラは現在、英国で左ハンドルのモデルSを販売しているが、これと同様に左ハンドルのルーシッド・エアを投入することはできないのか。ローリンソンCEOはこの質問に対し、同市場での完全なスケールアップを促進するには需要が低すぎるため、不可能だろうと答えた。 「真剣に検討したこともありますが、数字を見て考えました。はたして何台売れるのかと。20台、30台? コストもかかりますし、お客様に悪いサービスを提供したくないのです」 「ロンドンの少人数ならまだしも、英国全土に及んだらどうなるか? マンチェスターで修理が必要になったら? 到底実行できるものではありません」 「そのため、現実的には2年後ですね。もう少し短くなるといいのですが。少なくとも1年半です。明日から始めたとしても1年半はかかります」 ローリンソンCEOは英ウェールズ生まれで、ロータスやジャガーといった英国の自動車メーカーでエンジニアリング部門を率いてきた。そうした経歴からも、右ハンドル、特に英国導入には積極的なようだ。「問題はいつになるかです。やらなければなりません。わたしは英国人ですから」
フェリックス・ペイジ(執筆) 林汰久也(翻訳)