この夏もエルニーニョ現象の影響で暑い!子どもを猛暑から守るには?体温調節の専門家が教える、世界中の研究論文を読んで導いた〝盲点〟って?
専門家が教える、大人も子どももできる猛暑対策3選
■その1:汗はすぐに拭き取らずにカラダで乾かす! 汗は、蒸発して初めて熱をカラダから逃がします。汗が蒸発せずに滴り落ちると、体温調節的にはムダになってしまうのでます(蒸発しない汗を無効発汗といったりします)。 そのためにも、汗をかいた状態でクーラーにあたるときは、あえて汗を拭き取らず、クーラーの風で蒸発させましょう。 うっとうしいと感じることが多い「汗」ですが、体温を下げるために必要なもの。できるだけカラダの表面で蒸発させるように工夫してみましょう。 ■その2:お風呂上がりに牛乳を飲むとよい! タンパク質やナトリウムが豊富な牛乳は、保水効果にすぐれています。ただ、胃から腸へ移動するスピードがやや遅いので、素早く補給したいときには向きません。 一方で、ゆっくり吸収される分、血液の浸透圧の低下が抑えられ、尿として排泄される量が減ります。そのため、お風呂上がりに体水分をゆっくり回復させるには、牛乳がおすすめです。 ■その3:熱中症の対処ではカラダ全体を冷やす! 重度の熱中症が疑われる場合には、短時間で深部体温を39度以下に下げることが最も重要。そのためには、カラダの大部分を冷水に浸ける方法が有効です。カラダの一部(脇、首、手のひら)を冷やす方法では、急激に深部体温を下げることはできないので、可能な限り広範囲を冷やしましょう。 また、いうまでもありませんが、救急車の要請を躊躇してはいけません。 もっと細かく対策を知りたい、暑さとカラダの関係を深ボリしたいという人は、ぜひ私の最新書籍『猛暑対策BOOK日本のヤバい夏を最新科学の力で乗り切る!』を読んでみてください。自分はもちろん、自分の大切な人を守るための必須の知識が詰まっています。
猛暑対策BOOK日本のヤバい夏を最新科学の力で乗り切る!
藤井直人/著 小学館 1,430円(税込) 体温調節の専門家が「水分補給」「冷却」「暑さに慣らす」「冷やす」の観点から、熱中症対策をはじめ、猛暑によって引き起こされるカラダのさまざまな変化や危ない事例を取り上げ、夏をできるだけラクに、快適に、安全に過ごすための科学的ノウハウを公開。 加齢とともに体温を感知する機能が衰える高齢者、体温調節機能が未発達な子ども、炎天下で仕事に従事する人、屋外でのスポーツ愛好家はもちろん、屋内外をいったりきたりする働き盛り世代に向けた、猛暑から自分や大切な人を守るために必携の一冊です。 【記事監修】 藤井直人|筑波大学 准教授 筑波大学 体育系 准教授。博士(学術)。専門分野は運動生理学。 1981年6月24日大阪府生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。大学在学中は陸上競技部に所属。その経験を活かし、運動時の呼吸・循環・体温調節に関する運動生理学的研究を数多く行っている。さらに筑波大学体育系の特色を活かし、競技パフォーマンス向上のためのスポーツ科学研究も進めている。これまでの研究成果はThe Journal of Physiology やMedicine & Science in Sports & Exercise といった運動生理学・スポーツ科学分野の一流雑誌を含め、国際誌に180報以上掲載されている。アメリカとカナダでの海外留学の経験を活かし、複数の国の研究者と共同研究を精力的に進め、国際的な賞も複数受賞している。著書に『ランナーのカラダのなか』(小学館)がある。
取材・文/小学館出版局 生活編集室