この夏もエルニーニョ現象の影響で暑い!子どもを猛暑から守るには?体温調節の専門家が教える、世界中の研究論文を読んで導いた〝盲点〟って?
6~11歳は、汗による熱放散機能が未熟
子どもといっても、乳幼児と、6歳以上ではまた異なります。 乳幼児は大人と比べて体表面積や質量比が大きく、代謝量が低いため、体温が下がりやすいといわれています。体表面積や質量比が大きいということは、暑熱環境では体温が上がりやすいことも意味します。自分で衣服の調整や水分補給ができないため、大人による注意深い観察が必要です。 小児(6~11歳)は汗腺が未発達であり、汗による熱放散機能が未熟といわれています。その代わりに、皮膚血流量をより多く増やせるという特徴があります。さらに、通常は、運動トレーニングや暑熱順化で体温調節能が向上するのですが、小児では、これらの適応が起こりにくいといわれています。 体格の差についても考える必要があるでしょう。 体格が大きいということは、体温を1度上げるために必要な熱量がより多く必要になるということなので、「熱しにくい」ということになります。ただし、逆に体温が上がってしまうと、冷めにくいともいえ、最近の研究では、太っている人のほうが熱中症のリスクが高いともいわれています。
アスファルトの照り返しに注意!
子どもは背が低いので、地面からの輻射熱の影響を大人より受けやすいです。ベビーカーの赤ちゃんも、地面と近いほど同じような影響を受けやすくなります。大人の身長だと、地面付近の高温に気づかない場合があるため、このようなことを頭に入れておくことで、子どもの熱中症リスクを軽減することができます。 つまり、子どもはカラダが小さいので、「熱しやすく、冷めやすい」という特徴を持っています。 そこで注意したいのが、先のアスファルトの照り返しに加え、真夏時のクルマでの過ごし方です。 太陽光によって熱せられ、外部から閉鎖された空間に熱がこもったクルマの内部は、かなりの高温になっています。そして、外気温が高ければ、熱は外気より温度の低い体内に流入することになります。このような状況の場合、大人よりも体積の小さい子どものほうが、早く全身の温度が上がってしまいます。 また、先にお話ししたように、子どもは汗腺が未発達のため、高温になっても、大人のように大量の汗をかくことができず、汗による熱放散があまり促進されません。 このように、子どもは「熱ストレスに弱い」ということを周囲の大人たちは肝に銘じ、対策を講じてほしいですね。