全国手もみ製茶技術競技大会で製茶技術を競う職人ら＝2023年11月、藤枝市岡部町

　文化審議会は18日、煎茶や玉露などを手作業で作り上げる「手揉み製茶」と、草花を伝統的な技法で生ける「華道」を登録無形文化財にするよう文部科学相に答申した。技術継承に取り組む保持団体にはそれぞれ「手もみ製茶技術保存会」（静岡市）、「日本いけばな伝統文化協会」（大阪市）を認定する。同保存会は静岡県内の保持団体としては初めての認定となる。 　手揉み製茶は17世紀に伝来した技法が発展し、大正時代に現在の標準的な工程が固まったとされる。生活文化にかかる意義などが評価された。技の優劣を競う場として品評会や競技会が設けられている。 　華道は室町時代以降、多様な生け花の技法を生み出し、人々の生活に浸透。各流派では伝統的様式を繰り返し稽古し精神性を追究、美意識の継承を図っており、芸術的価値が高いと判断した。 　また、文化審議会は萬福寺（京都府宇治市）の大雄宝殿（だいおうほうでん）など3棟を国宝に、総持寺祖院（そうじじそいん）（石川県輪島市）など6件の建造物を重要文化財に指定することも求めた。 　萬福寺は17世紀半ばに中国から伝わった禅宗「黄檗宗（おうばくしゅう）」大本山で、中国仏教と既存寺院の建築手法を折衷した独特な様式が特徴。総持寺祖院は、明治時代の大火後に横浜に移転した曹洞宗大本山総持寺の別院として再興。1月の能登半島地震では仏殿などが被災した。 　重要文化財の指定はほかに、高野山真言宗総本山金剛峯寺金堂と根本大塔（こんぽんだいとう）（和歌山県高野町）や瀬戸内海歴史民俗資料館（高松市）など。 　答申通り告示される見通しで、登録無形文化財は6件、建造物の重要文化財は2589件（うち国宝232件）となる。 ■手揉み製茶登録　静岡県でも継承「価値認められた」 　手揉み製茶は煎茶や玉露などを作る伝統技法。焙炉（ほいろ）と助炭（じょたん）と呼ばれる製茶道具を使い、多様な手技による加圧乾燥を重ねて、針のように伸びた茶を製造する。生活文化史上の意義と美的価値が評価された。 　今年7月、手揉み製茶技術の継承と国の無形文化財への登録を目的に「手もみ製茶技術保存会」が設立された。11府県から全国手もみ茶振興会認定資格の「茶匠（さしょう）」と「師範」の保持者68人が参加。うち静岡県からは最多の41人が名を連ねた。 　同保存会の沢村章二副会長（78）＝牧之原市＝は「製茶の基本となる手揉み製茶の技術を、全国の仲間とともに長年守り続けてきた。その文化的価値が国に認められてうれしい」と話した。