ミシュランのホテル格付け 「評価方式」へのこだわりと業界への期待
ミシュランキーのこれから
旅は世界経済、そして地方の経済を回す上で、非常に重要なものです。美食のレストランだけでなく、良質の宿泊を提供することで、旅行者はよりその地域に長く滞在し、地元の経済をより潤すことができるようになります。例えば、ENOWA YUFUINのように、地元の食材を活用したり、地元の人が多く雇用されることは、私たちが大切にする「本物の価値」にもつながります。 今回、大都市や大規模なグループに所属する宿泊施設だけではなく、地方の独立系の施設が入っているのも、大都市を入り口として、日本の素晴らしい地域を発見してほしい、という思いからなのです。このミシュランキーを通して、地方に旅行者を呼び込み、地方の活性化につながる動きに拍車をかけたいという思いがあります。 ──サステナブルなライフスタイルを広めるという意味で、「グリーンキー」という可能性もありますか? 今はミシュランキーの各国へのローンチを進めている中なので、まだなんとも言えませんが、次のステップの可能性としてはあると思います。 ──今後のミシュランキーのローンチの予定は? 9月に北中米(アメリカのその他の地域、カナダ、メキシコ)、タイ、10月にはイギリスで発表されます。 ──キーだけのローンチというのはあるのでしょうか? 現在のところは、チームの基盤のある、すでに星の評価をつけている地域が対象になっています。 ──最近では、ミシュランガイドはブラジル・サンパウロなど、世界各国に展開しています。どこまで展開するなどの目標値があったりしますか? どれだけ大きくしなければならない、と決まっているわけではありません。ここ数年の世界の美食の文化の向上は目覚ましく、それが一定基準に達したと考えるところに、ローンチしているということです。ガストロノミーツーリズムの益々の発展に期待したいですね。 ──レストランの評価に関しては、「発見と体験」を大切にされるとおっしゃっていました。これは宿泊施設にも当てはまりますか? はい、美食を求めて世界の果てまで旅をする美食家たちが求めるのは、宿泊施設においても同じだと思います。その土地ならではのユニークな体験を発見すること。それがミシュランガイドが求めるものでもあります。
仲山 今日子