7ORDER 安井謙太郎「物事の“あり”の範囲が広がった」 大手事務所からの独立と起業、時代の変化を語る
7ORDERが3月19日、自らが設立・運営する事務所である株式会社L&L'sの存在を公表した。同社は7ORDER projectがスタートした2019年に設立され、7ORDERのリーダーである安井謙太郎がCEOを務めている。7ORDERは今後同社を母体とし、インディペンデントで活動する。 【画像】金髪になった7ORDER 安井謙太郎CEO 2019年に大手芸能事務所からグループで独立し、名前を一新してインディペンデントで再スタートを切った7ORDER。結成当初はメンバー自らが楽曲やMVなどのクリエイティブをDIY的に制作し、2021年には日本コロムビアからメジャーデビューを果たした。そして今回、「改めて7ORDERらしさを突き詰めたいと考えたときに、自分たちが主体となって進めることが最善であると判断しました」と、再びインディペンデントで活動していくことを決めたという。 なぜ7ORDERはこのタイミングで株式会社L&L'sの存在を発表したのか。2019年当時、異例と言われた独立から現在までの歩みをCEOの安井謙太郎に語ってもらった。(編集部) ■当時はあえて言わない方が良かった ーー株式会社L&L'sは、7ORDER projectがスタートした2019年に設立され、安井さんは当初からCEOを務めていました。なぜこのタイミングで公表しようと思ったのでしょうか? 安井謙太郎(以下、安井):理由は色々あるんですけど、一つは時代がすごく変わったということですね。事務所から独立して個人で活動するアーティストは昔からいたとは思いますが、僕らのような形で独立する人は5年前はあまりいなかったんです。当時はあえて言わない方が良かったというか、曖昧にしておいた方が誤解を生まないのではないかと思いました。今は状況が変わって、そういうことに対する違和感がなくなったように思いますし、逆に言わないことに疑問を感じるようになりました。 あと一つは、メンバーと話し合いをした結果、改めてもう少し自由な形で活動したり、それぞれの意思を尊重して物事を決めていきたいという意見もあったので、インディペンデントの形に戻ろうかと。2021年頃からL&L’sはBirdmanさんとパートナーシップを結んできたのですが、それを解除するとなると会社として今後どうして行くのかをきちんとみなさんに説明する必要があると思いました。それが今の時代にも合っているし、不信感も抱かれないだろうと。 ーー2019年の7ORDER project発足当時、最初からどこかの事務所やレーベルに所属するという考えはなかったですか? 安井:なかったですね。時代的に絶対に無理だったと思うので、そもそもそういう考えは選択肢になかったです。グループ全員で事務所を辞めて、また新しいところに所属したとしたら、どこに行こうとも完全に構えているように受け取られてしまうじゃないですか。僕らとしてもそういう気持ちは一切なかったし、その構図はナンセンスだと思ったので。受け入れてくれる事務所は絶対ないだろうという考えと、自分達でやった方が面白いことができるという両方の気持ちがありましたね。 ーーこの5年間で芸能界も大きく変わりましたよね。 安井:びっくりするくらい変わりましたね(笑)。今回の発表も時代の変化が良い・悪いではなく、事実としてそういう状況になった今、僕らがどういう発信をしていくのかを考えた結果です。別に5年前がすごくやりづらかったとかはない……いや、やりづらかったと言えばやりづらかったですけど(笑)。でも、あの時代が悪かったというわけではなくて、その時々における最善の選択をしてきたと思いますし、今回の独立もそれと同じことだと考えています。 ーーなるほど。2019年から設立していたとはいえ、株式会社L&L’sがどんな会社なのか知らない方も多いと思います。そもそもの設立背景を伺えますか? 安井:7ORDERというグループを新しく作り、エンターテインメントの世界で頑張っていきたいと考えたものの、本当に何も決めていなかったんです。ただ、何をやるにしても会社は必要だろうと思って設立しました。自分達の手で7ORDERのコンテンツや権利を持っておくために作った箱というイメージです。最初はわからないなりに調べながら法務局とかに行って、登記の場所とか細かいことを決めたり……あと知り合いにも会社を経営している友人がいたので、税理士さんや弁護士さんを紹介してもらって、メンバーとも相談しながら少しずつ進めて会社を立ち上げた感じですね。 ーー会社を設立して、まずは何をしたんですか? 安井:まずは自分達を紹介する映像がほしいと思って、知り合いづてでチームを組んで撮影しました。自分達で車を運転してロケハンしたり、衣装を買ってきてそれに(森田)美勇人がペンキで加工してくれたりとか、文化祭みたいな感じで楽しかったですね。そのときに制作予算みたいなお金まわりのことを自分で初めて考えるようになって。 ーーお金の収支も当然、安井さんが管理していたんですよね? 安井:そうですね。僕ら以外のスタッフは会社にほぼいなかったので。お金まわりのことも税理士さんに教えてもらいながら僕自身で管理していました。でも、最初の頃はあまり難しくなかったんですよ。舞台は出演者として呼ばれたものでしたし、出費がほとんどなく、入りしかなかったので。でも、インディーズで初めてシングルCDを出す時は収支の規模も大きくなっていたので、業務委託で手伝ってくれる方の力も借りながら運営していきました。1stシングルの『Sabãoflower』から「LIFE」「&Y」くらいまでは、周りの人の協力もありながらほぼ自分たちだけでクリエイティブを作っていきましたね。それで1stアルバム『ONE』をリリースするタイミングで日本コロムビアとメジャー契約をしました。 ーー日本コロムビアとの契約はどのような流れだったんですか? 安井:2020年くらいから世の中がコロナ禍になり、僕らも活動のやり方を考えていた時に、湘南乃風の若旦那さんとお話しする機会があって。僕、若旦那さんとボイストレーニングの先生が一緒なんですよ。世間的に配信ライブをみんなやり出していた時期で、僕らもやりたいと思っているという話をしたら、若旦那さんが配信ライブの制作をしている方を紹介してくれて。それで行ったのが2020年7月に行った『UNORDER』という配信ライブでした。そういうやりとりをする中で、若旦那さんから日本コロムビアさんを紹介してもらって、メジャーデビューしたという流れですね。 ーーそこからBirdmanとパートナーシップを結んだ理由としては、安井さんが7ORDERの活動に専念するという目的もあったんですか? 安井:そうですね。メンバーから7ORDERの一員としてより密に活動してほしいという希望もありました。あとはBirdmanさんは広告の制作会社でクリエイターさんがたくさん所属されていて、そういった方々とコンテンツを作っていくことに可能性を感じたんです。それで直近まではパートナーシップを組んで一緒に制作をさせていただきました。 ーー経営者とアーティストの両軸でやるのは本当に大変なことだと思います。 安井:今も経営者としてはまだまだだと思いますが、当時は右も左も分からなかったので失敗したこともたくさんあります。例えば1stシングル『Sabãoflower』をリリースするときに、自分達で全部のCDにシーリングスタンプを押していこうと考えて実行したんですけど、むちゃくちゃ大変でした。僕が思いつきで提案したらメンバーが面白がってくれてやってみたんですけど、大体2万5千枚くらいのCDにみんなで手分けしてスタンプを押していく作業を2週間くらいほぼ寝ずにやり続けるみたいな。ファンのみなさんには喜んでいただけたことは嬉しかったのですが、その時間をかけてもっと違ったものをお届けできたのではないかと今は思います(笑)。そういう企画は何も知らないからこそできたことだと思いますし、大変でしたがいい思い出になりましたね。