長野県松本市の岡田靖男さん91歳、自転車店営みテニスにも汗 二刀流「生涯現役で」
16日は「敬老の日」。山あり谷ありの人生を乗り越え、年齢を重ねてなお元気なお年寄りの姿は「行く道」に希望をもたらす道しるべだ。その経験に耳を傾け、あらためて「ありがとう」の言葉を伝えたい。 松本市中央2の岡田靖男さん(91)は、中心市街地の高砂通りにある自転車店「岡田バイシクル」を年中無休で営みながら、春から秋までは毎朝、旧開智学校隣にあるテニスコート(開智公園運動場)に通っている。最近は、テニス仲間に「転んだら大変」と心配され、仲間とボールを打ち合うことはないが、その分コートの草取りに精を出し、スクワットやストレッチに元気に励む日々だ。 毎朝5時過ぎ、開智早朝テニス倶楽部に参加するために、自転車に乗って出掛ける。5時半にはコートに到着し、6時からの活動が始まる前に草取りをする。試合中は休憩中の仲間と会話を楽しんだり、ストレッチをしたりして過ごし、8時には自宅に戻り、夕方まで店を営む。60年間続く日課に「自転車店もテニスも好きだから」と笑う。 松商学園高校を昭和26(1951)年3月に卒業し、父が始めたバイクと自転車を扱う店に入った。「他の人がやらないことをしたい」とスポーツタイプの自転車の販売を市内でいち早く始めた。映画「ローマの休日」で人気となったスクーター・ベスパも県内で初めて取り扱った。自転車の組み立て作業が夜中までかかり、睡眠3時間で早朝テニスに向かうことも多かった。 「病気という病気をしたことがない」と胸を張り、足腰もしっかりしている。穏やかな人柄だが「日本人のお行儀」にはうるさく、テニスの服装などで気になることがあれば柔らかく相手に伝えている。引退の意思はなく「自転車店もテニスも生涯現役」と笑顔を見せる。
市民タイムス