東エレクなど「半導体関連株」が世界的に急落、大型ハイテク7銘柄も総崩れ…今後の株価動向はどうなる?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。
●米国が対中半導体規制を厳格化との7月17日の報道に日本とオランダの半導体関連株が急落。 ●米半導体関連株も連れ安に、米大統領選挙でトランプ氏の再選確率が高まったとの見方も影響。 ●ただ米規制で半導体需要は消滅せず、決算で旺盛な需要確認なら相場は落ち着きを取り戻そう。
米国が対中半導体規制を厳格化との7月17日の報道に日本とオランダの半導体関連株が急落
7月17日の主要国の株式市場では、半導体関連株が大幅に下落しました。米ブルームバーグ通信が日本時間の同日午後、「米国が対中半導体規制でさらに厳しいルールを検討していると同盟国に警告した」と報じたことがきっかけになった模様です。報道によると、バイデン米政権は日本とオランダに対し、先端半導体技術へのアクセスを中国に提供し続ける場合、利用可能な最も厳しい貿易制限措置を検討しているとのことです。 具体的に名前が挙がった半導体製造装置大手の東京エレクトロンは7月17日、前日比7.5%下落し、アドバンテストなど他の半導体関連銘柄にも売りが広がって(図表1)、日経平均株価の下げを主導しました。同じく名前が挙がったオランダのASMLホールディングは、市場予想を上回る良好な4-6月期決算を発表しましたが、この日の報道により、前日比10.9%下落し、売買停止となりました。
米半導体関連株も連れ安に、米大統領選挙でトランプ氏の再選確率が高まったとの見方も影響
バイデン政権は、これまで対中通商政策を強化してきており、5月に示した方針では、8月1日から中国製の電気自動車(EV)に現状の4倍に当たる100%の制裁関税を課し、太陽光パネルや鉄鋼・アルミ製品などの輸入品についても税率を上げ、さらに、2025年1月1日より中国から輸入する半導体の税率は50%に引き上げられる案が公表されています。今回の報道も、これら一連の流れに沿った政策と考えられます。 なお、7月17日の米国株式市場でも、半導体関連株に売りが波及し、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)などが軒並み下落しました(図表2)。また、マイクロソフトやアップルなど大型ハイテク7銘柄の「マグニフィセントセブン」も総崩れとなりました。市場では、米大統領選挙でトランプ前大統領の再選確率が高まったとの見方が強まっており、対中強硬策は続くとの警戒が影響していると推測されます。
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