韓国軍、爆破の被害ないのに重火器で対応射撃…一触即発の危機
15日、北朝鮮による京義(キョンウィ)線・東海(トンヘ)線の南北連結道路爆破の後、韓国軍が取った措置と関連して注目されるのは、韓国軍が軍事境界線の南側の地域で(北側に向けて)加えた「対応射撃」だ。軍の発表を見る限り、北朝鮮の道路爆破による被害はなかったにもかかわらず、あえて戦争拡大の危険を冒してまで、北朝鮮に向けて重火器射撃を行った理由が明らかでないからだ。 合同参謀本部(合参)は同日、北朝鮮が京義線と東海線の南北連結道路を爆破した後、将兵たちが対応射撃をしたと発表した。合参関係者は「爆破作業による韓国軍の被害はなく、軍事境界線以南100メートル地域に対応射撃を実施した」と述べた。この射撃に対する北朝鮮軍の対応はなかったという。 合参関係者は「軍将兵の被害がなかったのに、なぜ対応射撃をしたのか」という質問に、「対応の意志があることを示すため、自衛権のレベルで警告放送と共に対応射撃を行った」と答えた。さらに、「北朝鮮軍が事前警告なしに非武装地帯で爆破行為をし、その飛散物が軍事境界線の南側にかなり落ちた。韓国将兵の被害こそなかったが、被害が発生し得る危険な行動なので、『このような行為をするな』という警告メッセージを込めて対応射撃を実施した」と付け加えた。非武装地帯内で施設物の工事をするためには事前通知と協力要請が必要だが、北朝鮮軍の道路爆破はこのような手続きを踏まず「停戦協定違反」に当たるという説明だ。 同日、韓国軍の監視警戒所からは、北側に向けてK4高速榴弾機関銃とK6重機関銃がそれぞれ数十発ずつ発射された。手榴弾のような小型爆弾を発射する高速榴弾機関銃K4は、破壊力が機関銃と迫撃砲の中間程度だ。口径12.7ミリのK6重機関銃は「銃」と「砲」の境界線上にある韓国軍最大口径の銃器だ。 同日の対応射撃は、軍事境界線の南側100メートル地点に標的地をあらかじめ設置して行われた。合参関係者は「軍事境界線に隣接した道路爆破にともなう最大危険半径を500メートルと事前に評価し、この日爆破された道路500メートル以内には将兵たちがいなかった」と説明した。北朝鮮軍が京義線、東海線の道路を爆破した地点は、軍事境界線の北側10メートルほどで、爆破した道路の幅は20メートルほど。 問題は、将兵たちが軍事境界線から500メートル以上離れたところから軍事境界線以南100メートル地点に設置した標的に射撃するためには、北朝鮮の軍事境界線の方向を狙わなければならなかったという点だ。北朝鮮軍の立場からすると、自分たちに向かって南側から銃弾、榴弾が飛んでくる状況であり、ややもすれば南北間の偶発的軍事衝突に拡大する可能性もあった。 「将兵の被害がなかったにもかかわらず、軍事境界線に近接して重火器射撃を行ったことは停戦協定違反ではないか」という指摘に対し、合参関係者は「停戦協定違反の素地はなく、自衛権的対応」だと答えた。さらに「普段、北朝鮮軍が軍事境界線に近づくと警告放送をして一定線を越えれば警告射撃をするが、今回の対応射撃も同じもの」だと述べた。 クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )