韓国・尹錫悦大統領が守り抜いてきた「愛妻」金建希夫人の背後まで迫ってきた司直の手
■ 尹大統領のアキレス腱 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾案が国会を通過したことで、尹大統領はもちろん、金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人の運命も風前の灯火となってきた。 【写真8点】尹錫悦大統領の演説を足を組んで聞く金建希夫人、ほか これまで金建希夫人に対する特検法は3度、国会を通過したが、そのたびに尹大統領が拒否権を発動し防御してきた。そしてその防御壁が消えた中で4度目の金建希特別検事法が発議され、12月12日、予想通り国会を通過した。今後、韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行が拒否権を行使する可能性もゼロではないが、金建希特検法に対する韓国国民の賛成世論が高いことを勘案すれば、可能性はほぼない。 金建希大統領夫人は尹錫悦政権発足後から、いや大統領選挙期間中から「尹錫悦政権の最大ウィークポイント」とされ、野党の集中攻撃を浴びてきた。 「もし尹大統領が巨大野党から弾劾されるなら、その理由は金建希夫人のせい」という見方も出ていた。野党の度重なる疑惑提起で、韓国国民も金夫人に対してかなりネガティブな印象を抱くようになっていたからだ。
■ 国民に向けた「涙の謝罪」 2022年の大統領選挙期間中、野党の主な攻撃ポイントは金夫人だった。選挙序盤から左派インターネットメディアは〈金夫人はホステス出身で、過去には尹大統領の検察時代の先輩と同棲していた〉という噂を流し、証人も登場させるなど、大衆の低俗な好奇心を刺激した。 その後も主要メディアによる大統領候補者検証過程で、金夫人の「論文盗作」「経歴水増し」「株価操作」などの各種疑惑が浮上し、“金建希リスク”は本格的に顕在化してきた。この時は、金夫人が国民の前で涙の謝罪会見を開き「内助にのみ専念する」と約束したが、結局、約束は守られなかった。 大統領就任式直後から「大統領への内助のため」という理由で歴代大統領らの夫人たちを訪問する活動を開始、さらに尹大統領の各種行事に同行しては華やかな容貌でメディアの注目を集めた。行事に同行することも内助と言えるだろうが、金夫人の振る舞いは尹大統領の存在が霞んでしまうほど、過度な注目を集め、同時に野党に格好の攻撃材料を多く提供した。 例えば、金夫人には儀典上のミスがよくあった。前職大統領らの夫人を訪ねる時、自分が経営していた会社の職員を同行させたり、大統領の欧州歴訪に同行する際、大統領専用機に金夫人の随行員として民間人を同乗させたりするなど「儀典法」に反する状況が繰り返され、野党とメディアに非難の種を提供した。