「お客様の口座の取引を一時停止」広島銀行装うSMS 偽サイトに誘導され預金失った男性が証言
広島銀行(広島市中区)を装ったショートメッセージサービス(SMS)などから偽サイトに誘導し、預金を不正送金させる事案が相次いでいる。約40万円を失った広島県福山市内の50代会社員男性が中国新聞の取材に応じ「怪しむ間もないほど一瞬の出来事だった」と振り返った。 【写真】男性に届いた「認証番号」のSMS
■長男の家賃や長女の塾の月謝引き落としと重なり…
男性によると、11月26日午前7時40分ごろ、前日に会社から振り込まれた給料を確認しようと、自宅で同行のスマートフォンアプリを開いた。エラーが表示されたため、何か連絡が来ていないか確かめると、1時間ほど前にSMSでURL付きのメッセージが届いているのに気付いた。 「【広島銀行】お客様の口座の取引を一時的に規制しています」 普段ならこうしたメッセージは偽物と思い、すぐに削除するという男性。ただ、この日は市外に1人で暮らして大学院に通う長男(22)の家賃や、受験を控えた高校3年の長女(17)の塾の月謝の引き落としがあった。慌ててサイトを開き、記載通り口座番号やインターネットバンキングのパスワードを打ち込んだ。 続いて4桁の「認証番号」が載ったSMSのメッセージが届き、サイト上で入力するよう求められた。打ち間違えると、その度に新しい番号が届いた。 入力を終えてアプリを開き直す。口座にあったほぼ全額がなくなっていた。「最初のエラー表示から数分の出来事。冷静になることができなかった」と男性。エラー表示は、SMSとは無関係の通信上の不具合などだったとみられる。
■県内外の約100人が被害、総額は6000万円
近くの同行の支店に相談し、ネット銀行の口座に送金されていたことが分かった。「口座の名義人は仮想通貨を売買する会社。取り返すのは難しいかもしれない」。支店員の説明通り、金は今も戻ってきていない。 同行によると、11月24日~12月8日に県内外の約100人が被害に遭い、総額は約6千万円に上る。同行は「SMSやメールでネットバンキングの入力画面に案内することはない」と注意を呼びかけている。通話無料の問い合わせ窓口☎(0120)336100=平日午前9時~午後5時。
中国新聞社