強盗団「ピンクパンサー」の猛威 世界各国で宝石強奪 警視庁150年 121/150
世界各地で高級宝石を強奪した国際強盗団「ピンクパンサー」。化粧品の小瓶に盗難品を隠す方法が映画のワンシーンと同じだったことから作品名が付けられた。入念な下見と素早く大胆で巧妙な犯行が特徴で、1999年以降、世界30カ国近くで被害総額350~450億円相当に上った。 日本でも2004(平成16)年3月、東京・銀座の宝石店からダイヤのネックレスなど計12点、35億円相当の貴金属を強奪。07(平成19)年6月にも銀座の宝石店でティアラなど2億8千万円超の宝石を強奪した。 国際刑事警察機構(ICPO)は07年7月、「プロジェクトピンクパンサー」を発足。警視庁も欧州に捜査員を派遣し、会議に出席した。ICPOは加盟国の捜査機関がメンバーを特定できるようDNAや指紋、写真を共有できるデータベースを構築。各国でメンバーが次々と拘束されたが、ライフル銃などで武装して刑務所を襲い、奪還したケースもあった。 09年に銀座のティアラ強盗事件に関わったモンテネグロ国籍の男がキプロスで逮捕され、余罪のあったスペインに移送。日本がスペインに引き渡しを求め、10年に移送された。日本と犯罪人引渡条約を結んでいない国から外国人容疑者が移送されるのは異例だった。 ピンクパンサーは旧ユーゴスラビア出身者を中心に150~200人のメンバーが事件ごとに離合集散を繰り返していた。国籍に関係なく結びついた犯罪者が各国で犯行を繰り返す「犯罪のグローバル化」が進んでいる実態が明らかとなり、日本の警察当局は外国の治安機関との協力体制を強化した。(梶原龍)