ドゥカティの新型「ムルティストラーダV4S」。快適な冒険を求める。大人のアドベンチャーバイク
ラジオの部品などを作る電気機器メーカーとして1926年、イタリアのボローニャで創業したドゥカティは第2次世界大戦後にモペット(原動機付き自転車)の生産を通じて2輪業界へと進出。敗戦からの復興を庶民の足として支え、その後レース活動での確固たる実績を築くことで世界的なモーターサイクルブランドへと羽ばたいていった経緯は日本のホンダとも重なる。 【写真で見る】ドゥカティの新型アドベンチャーバイク「ムルティストラーダV4S」のディテールをチェックする(21枚) ドゥカティはレースで培った先進技術やノウハウを直接市販車にフィードバックすることで知られ、80年代から現在にいたるまで市販車ベースで戦うスーパーバイク世界選手権(WSBK)でのあまたの勝利をはじめ、近年では世界最高峰のモーターサイクルレース「MotoGP」において3年連続で王座を獲得するなど圧倒的なパフォーマンスを見せつけている。
【写真】ドゥカティの新型アドベンチャーバイク「ムルティストラーダV4S」のディテールをチェックする(21枚) ■ドゥカティとアドベンチャーツアラー プロダクトにおいては「パニガーレ」シリーズなど極めてスポーツ志向の高いモデルに注目が集まりやすいが、もうひとつの柱として力を注いできたのがアドベンチャーツアラーのセグメントだ。求められるのは、世界の果てまで連れて行ってくれる究極のツーリングバイクとしての能力。たとえば、1日数百キロの距離を荷物満載で快適に移動できる強力なエンジンと優れたエアロフォルムや、壮大なアルペンルートを軽快に駆け抜けるスポーティなハンドリング、不整地を含むどんな道でもへこたれず走破できる強靭な足まわりを兼ね備えた万能バイクである。
イタリア語で「すべての道」を表すムルティストラーダは、まさにその代表格といえるだろう。国境を越えて何日もバイク旅を楽しむ欧州やアメリカなど大陸系のユーザーにはとくに人気が高く、近年の世界的なアドベンチャーブームも追い風となって世界で年間1万台以上のセールスを記録(2022年時点)するなど、“今最も売れているドゥカティ”がこのムルティストラーダなのだ。 ■4種類のバイクを1台に集約した万能性がさらにアップ