イメージが変わった兜町 昔は紙袋に1億円入れて証券会社へ 今や投資家が直接パソコンで売買注文を出す時代
【兜町地獄耳】 元証券会社OB 久しぶりに来たら、兜町もずいぶんとおしゃれになったな。歩いている人もスーツを着た証券マンは少なく、若者ばかりだ。 証券ライター そうでしょ。取材の待ち合わせも今は古い喫茶店ではなく、ここ「KABUTO ONE」がほとんどです。 OB 「株の街」という雰囲気がなくなったな。昔は、紙袋を抱えた怪しいオッサンをよく見かけたよ。ネット証券なんてなかったから、紙袋に札束を詰め込んで、証券会社に持ち込んでいた。ひとつの紙袋にちょうど1億円入るんだ。 ライター 紙袋ですか? 危なっかしいですね。 OB いや、逆に安全なんだ。強盗に引っ張られても破けてしまうから、すぐに人が集まってくる。実際にそんな現場は見たことないけどな。 ライター 確かに(笑)。ところで、ここ「KABUTO ONE」は平和不動産が設立した商業施設って知ってました? OB それは知らなかった。平和不動産といえば、東京証券取引所だよな。「兜町の大家」として、証券マンにはおなじみの上場会社だ。 ライター 平和不動産の株主総会も、いまではここで開催するんですよ。 OB 株価や業績はどうなっているんだ? ライター 株価はここ3年くらい横ばいですけど、営業利益は過去最高益を更新して、特別配当も出たらしいですよ。先日は、大成建設が平和不動産の株式を取得して、筆頭株主になったというニュースもありました。今後も兜町の再開発事業に取り組むようです。 OB なじみの店がどんどんなくなりそうでさみしいなあ。株が上がるようにと験を担いで、てんぷらやウナギばかり食べていたよ。その店ももうなくなってしまった。 ライター 昔、連れて行ってもらいましたよ。証券マンの昼休みは前場と後場の間でしたので、兜町中の証券マンが集まって、メシを食いながら情報交換をしていましたね。 OB そうそう。メシが終わったら、取引所の前の喫茶店にたむろしていた。懐かしいなあ。 ライター 当時は、証券取引所に「場立ち」がいて、手サインで株の売買を行っていました。よくあれで正確な売買ができましたね(笑)。