なぜ「政治系の陰謀論」は多いのか? 孤独と陰謀論の関係とは? 専門家が解説
「猪口議員は夫婦別姓・同性婚に反対していた。事件性があると思う」 11月、東京・文京区にある猪口邦子参議院議員の自宅マンションで火事が発生。夫・孝さんと長女の2人が亡くなった。 【映像】斎藤知事の支持者は陰謀論を信じる?(グラフ) この火事について、政治心情が理由で火をつけられたという憶測が拡散。だが警視庁は、第3者が部屋に入った形跡がないことから失火の可能性が高いとみている。 大阪経済大学の秦正樹准教授は「陰謀論は政治関連に多い」と話す。その背景を詳しく聞いた。 秦准教授は政治関連の陰謀論が多い理由を2つ挙げた。 「政治には意思決定を新聞・テレビの報道を通じた一部の情報でしか知れない“秘匿性”がある。例えば『なぜ自公は年収の壁を123万円へ引き上げで調整しようとしているのか?』と考えても我々には分からない。とはいえ人間は原因を求める。一般的には報道の中から確認するが一部の人は様々な邪念も含めて考えが及んでいく」 「もう1つは、選挙は多数派と少数派を分ける装置で自分がどちらかを可視化する役割があるからだ。少数派の人たちからすれば『こんなに良いこと言っているから応援したのになんで?』という憤りのようなものが生まれ、どうしても我慢できなくなると『不正選挙だ』などの方に考えが及ぶ人もいる」
孤独感と陰謀論のハマりやすさは関連する?
秦准教授は陰謀論の性質について「元々陰謀論は自分と同じ考えの人たちと共有して『やっぱりそうだよね』などと分かちあうことで終息し、何かを攻撃したりテロなどに発展するところまで深刻化しないものだ。そして、陰謀論とは『自分がこうだと思っているのに現実がそうではない』という“ズレ”を受け入れられない時に別の理由を見つけ出すのだが、どういうわけか“最大公約数的な原因”に収斂していく。例えば芸能人が亡くなった後に『薬物が原因だ』『芸能プロダクションが影響している』『ある人からいじめを受けていた』など様々な憶測が流れるが、なぜか最終的には1つのみんなが納得できるところに落ち着く。そして『孤独感と陰謀論のハマりやすさは関連する』とする研究も多い。『多くの人に理解してもらえないから多くの人が理解できないものを信じるようになる』のだ」と説明した。 陰謀論はスケールアップしない、とのことだが今後選挙などに大きな影響を及ぼす可能性はないのだろうか? 秦准教授は「政党があまり介在しない地方選挙には入り込む可能性がある」と述べた。 「地方選挙は『個人対個人』であるため、応援する側も視野が狭くなる部分があると思われる。そうなると拡散力があるインフルエンサーなどの力が作用する可能性はある。一方、政党対政党の戦いにおいて陰謀論は支持者の間で広がるだけで大きな影響を及ぼすことはないだろう」 (『ABEMAヒルズ』より)
ABEMA TIMES編集部