【独自解説】新米も値上がり…『備蓄米』なぜ出せない?政府が危惧するコメの値崩れは生産者の手取り減だけではない!「農家の票田を失いたくない」自民党の思惑とは―
店頭からコメが消え“令和の米騒動”とも言われる中、いよいよ新米の季節を迎えました。コメが流通し、価格が落ち着く…と思いきや、実際は高止まりのまま。一方、備蓄米の放出に対して政府は消極的です。一体なぜ?『読売テレビ』解説デスク・高橋克哉の解説です。 【動画で見る】コメ不足のなか新米が流通しても価格は高いまま…備蓄米の放出に消極的な政府…そこには政治的な思惑も?
■新米も出回る中、米の値上がり続くワケ
“コメ不足”“令和の米騒動”など話題を振りまいていたコメですが、9月に入り、店にもようやく新米が出回ってきています。ものが出回ると、次に気になるのが『値段』。残念ながら、2024年の新米・この次の1年間も、少し値段が上がりそうな雰囲気です。
キーワードは、『概算金(がいさんきん)』です。あまり聞き慣れない言葉ですが、要は“前払い”ということです。『概算金』とは、生産者(農家)がJAにコメを卸した時に払われるお金です。
本来なら、お金は卸売業者との売買が成立した時に貰うものですが、タイムラグがあるので、JAが先に生産者にお金を渡します。もちろん適当に価格をつけているわけではなく、その時々の受給の動向・資材価格・経費などがどれぐらいかかったかを見ますが、この金額が軒並み上昇しています。
■取引価格は最高値…「1000円以上値上がりする新米も」
例えば、これは米俵一俵(60kg)当たりの金額ですが、2023年と比べて富山産コシヒカリが3000円・秋田県産あきたこまちが4700円も値上がりしています。これは、取引価格としては最高値といわれています。
この『概算金』は最終的に、消費者が店頭で購入する金額にも反映されます。取材した『西川米穀店』西川信一さんによると、「佐賀県産コシヒカリの新米は、5kgで500円値上がりしている。今後は1000円以上値上がりする新米も出てくるので」と話していました。
■価格を下げる方法は『備蓄米』 しかし…
そんな中、急激にコメの価格を下げる方法が一つだけあります。それが、『備蓄米』です。2024年8月27日、大阪府・吉村洋文知事が国に対して「備蓄米を放出せよ」と求めました。ただ、国は消極的という状況です。
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