休戦恐れるネタニヤフ首相、「永久的紛争」狙った賭けに出たか
「私たちは戦争の新たな局面を迎えている。(レバノンと国境を接する)北部地域に資源と兵力を配置している」 レバノンでイスラエルの犯行と推定される攻撃であるポケットベル(ポケベル)と無線機(トランシーバー)の爆発事件が起きた後の18日(現地時間)、イスラエルのヨアブ・ガラント国防相は、ガザ戦争拡大の可能性を示唆する発言をした。ガラント氏は同日、イスラエル北部のラマト・ダビッド空軍基地を訪問し、「私たちの任務は明らかだ。(ヒズボラの戦闘で避難中の)イスラエル北部地域の住民たちが安全に故郷に帰れるようにすることだ」と述べた。 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ極右内閣のヒズボラやイランなどに対する攻撃は最近ますます、これらの勢力に対する報復や牽制が目的ではなく対応を誘導して戦争拡大を狙っているように見える。イスラエルは、ポケベルと無線機の爆発が自分たちの仕業だと認めたわけではないが、米国のマスコミは匿名の当局者の話として、イスラエルが起こしたことだと報じた。 ネタニヤフ首相は18日、テルアビブ軍司令部で開かれた会議で、イスラエル北部の住民数万人の「安全な帰宅」を新たな戦争の目標に掲げた。また、イスラエル国防軍(IDF)は同日、イスラム組織ハマスとの戦争のためにガザ地区に投入された98師団をイスラエル北部に再配置すると発表した。イスラエル軍のヘルジ・ハレビ参謀総長は同日、北部司令部を訪問し「イスラエルにはこれまでヒズボラとの戦いで使わなかった多くの能力がある」としたうえで、「私たちは入念な準備ができており、実行する計画を立てている。すでに次の二つの段階を強行する用意ができている。いずれの段階でもヒズボラが払わなければならない代償は大きいだろう」と述べた。 ガザ戦争に対する国際社会の休戦圧力が高まった昨年末から、イスラエルが行ったか行ったと推定される攻撃がシリア、レバノン、イランで起き、戦争拡大の危険性が高まってきた。4月1日、シリアのダマスクスにあるイラン領事館がイスラエルの空襲と推定される攻撃を受け、イラン革命守備隊のコッズ部隊の上級司令官、モハマド・レザ・サヘディ氏が死亡した。イランは同月13日、無人機(ドローン)とミサイル約300機を動員し、初めてイスラエル領土を直接攻撃する報復を行った。ただし、イランは事前にこの攻撃を周辺国に知らせ、イスラエルの被害はほとんどなく、戦争拡大の危機は山を越えた。 イスラエルは3カ月後の7月30日、レバノンの首都ベイルートを空爆し、ヒズボラの最高幹部フアド・シュクル氏を殺害した。翌日の7月31日には、イラン新大統領の就任式に出席するためテヘランを訪問したハマスの最高幹部、イスマイル・ハニヤ氏がイスラエルの仕業と推定される攻撃で暗殺された。イランはガザ戦争休戦が実現すれば報復攻撃を留保する意向を示し、イスラエルとの戦争拡大を再び避けた。代わりにヒズボラが出て先月25日、イスラエルに320発のドローンとロケット攻撃を加え報復の完了を宣言したが、今回再びポケベルと無線機爆発の攻撃が起きた。 ネタニヤフ首相のこのような行動は、ガザ戦争の休戦が成立すれば、首相の座を追われるだけでなく刑事処罰を受ける恐れがあるためとみられる。昨年末、イスラエル裁判所はネタニヤフ首相の収賄と背任、詐欺など不正容疑の3件に対する裁判を再開した。英紙フィナンシャル・タイムズは「ネタニヤフはイスラエルの安全保障上の利益で賭けに出る傾向を示してきた」とし、「永久的な紛争という状況はイスラエルと中東にとっては災いだが、ネタニヤフはその道を選んだものとみられる」と分析した。 チョン・ウィギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )