ティーショットのリカバリーは常に安全策? それとも攻める? プロが教える「2つの判断基準」とは
ティーショットが大きく曲がり林の中へ。こんなケースはよくある。その場合、マネジメントのセオリーは「欲張らずに横に出す」だが、その判断はいつも正しいと言えるのだろうか……。2024年12月24日号の「週刊ゴルフダイジェスト」では、戦略を決めるための判断基準を二見悠嗣プロに聞いているので「みんゴル」でも紹介しよう。
解説:二見悠嗣プロ 上智大学で心理学を学ぶ。 23 歳から始めたゴルフで指導者の道を志し、リクルートを脱サラしてPGAティーチングプロ資格を取得した異色プロ。 メンタル面を重視したコーチングを得意とする。
「攻めるか、安全にいくか」の判断基準は2つ
寒くなるこの時期、朝イチのティーショットは体が思うように動いてくれない。すると、ボールはつかまらずに大きなスライスを描き林の中へ……こんな経験はゴルファーなら誰しもあるだろう。 「多くのゴルファーがベストスコアの更新を毎回のラウンドの目標にしていますので、1番ホールから諦めるわけにはいかない。すると少しでも距離を稼ぎたいと前方の隙間を狙って無理に打ち、非情にも木に当たったボールはさらに林の奥へ、という光景はよく見かけるのではないでしょうか」と言うのは大学で心理学を専攻していた二見悠嗣プロだ。 林に入れた場合は「欲を出さずに確実に横に出す」というのが、マネジメントのセオリーとしてよく言われているが、これはいつも正解なのだろうか。 「攻めるのか、安全にいくのか、戦略を決めるときには2つの判断基準があります。1つ目はリスクを負う価値があるかどうか。林の中に入った場合を例にすると、横に出した場合はグリーンまでの残り距離が200ヤード以上もあり、次のショットで乗せるのは難しい。でも前方の隙間を5番アイアンの低い球で狙って100ヤード稼げれば、残り距離が100ヤードになり、次のショットでグリーンに乗せられそうという場合は、リスクを追うだけの報酬(リワード)があるので攻めてもいいということになります。しかし、横に出しても、距離を稼いでも、どちらにしても次のショットでグリーンを狙えるという状況に変わりがなければ、リスクを負ってまで攻める価値はないということです」 リスクに見合ったリワードがあるかどうかを冷静に分析する必要があるのだが、多くのアマチュアゴルファーが“何となく前方に隙間があったから”というような、感覚的なものだけで判断してしまっているのだと言う。 「そして2つ目の判断基準となるのが、自分の技術と能力で求められるショットが打てるかどうか、つまり戦略を実行できる確率が高いかどうかということです。これを見極めなければなりません。これは当然、隙間の広さやライなどで変わってきますから、慎重に判断する必要があります」 この2つの判断基準に照らし合わせて考えれば、攻めるべきか、安全策を選択するべきか、自ずと答えは出るということだ。 「リスク&リワードの観点から攻める価値があるかどうか、そして戦略を実行できる技量が自分にあるかどうかを考えると、多くのシチュエーションで“安全策”が正解となるケースが多いので、それがマネジメントのセオリーとして定着しているということだと思います。つまり必要のない状況で攻めている人が多いというわけです」