トランプ氏政権発足へ始動 追加関税に買収阻止...日本企業のリスクは?【WBS】
アメリカ第一主義を掲げるトランプ氏の大統領への返り咲きで、世界経済への影響が懸念される中、日本企業も対応を迫られています。 まずは前回のトランプ政権時のアメリカ経済を振り返ります。 トランプ氏は自らを「タリフマン(関税男)」と呼び、日本を含む世界各国との貿易摩擦を生みました。鉄鋼やアルミニウムに対して、関税を上乗せし、特に中国には高い制裁関税を課しました。 トランプ減税とも言われている大幅な減税も実施し、法人税率を35%から21%に引き下げました。さらに、エネルギー業界の規制緩和を推進し、2018年にアメリカの原油生産量は45年ぶりの世界トップとなりました。
株価は新型コロナウイルスが広がる2020年までは右肩上がりとなり、ニューヨーク株式市場でダウ平均株価は当時の最高値を付けました。失業率もおよそ50年ぶりの水準まで低下し、アメリカ経済は上向きになりました。 トランプ氏は今回の選挙戦でも各国からの輸入品に対して10%以上の関税を課すなどアメリカ第一主義を強調しています。日本にも影響が及ぶとみられていますが、企業はどう受け止めているのでしょうか?
日本企業の対応は?
7日に決算を発表したマツダ。トランプ氏の影響を問われた毛籠勝弘社長は「2016年にトランプ氏が当選した時、私はアメリカにいたが、大変難しい環境に置かれたことがある」と話しました。 発表された今年4月から9月までの決算は1年前と比べて増収減益でした。アメリカでの販売台数は21万台以上で、1年前と比べて16%近く増えました。ただ、約8割はメキシコや日本などからアメリカへ輸出していて、トランプ氏が掲げる追加関税のリスクにさらされます。 「選挙中の発言で、われわれが対策を決めていくということはないが、情報収集して対応策を考えていく」(「マツダ」の毛籠勝弘社長) 同じく7日に決算発表を行った味の素。アメリカで製造販売する冷凍ギョーザなどの売り上げは全体の3割近くに上ります。ただ、その原材料の輸入には関税が課されるため、藤江太郎社長は「関税が高くなった場合に、調達を1カ国や1社だけではなくて、複数購買にするなどしっかりやり続ける」と話しました。 関税以外でも影響を受ける可能性があるのが、日本製鉄のアメリカ鉄鋼大手「USスチール」の買収です。USスチールの買収を巡って、トランプ氏は選挙運動中「日本企業によるUSスチールの買収を阻止する」と繰り返し、買収阻止を公言してきました。 「もし阻止に動いた場合はどう対応するのか?」(竹﨑由佳キャスター) 「話しに行く。(前回の大統領時代に)外国から投資を誘致し、新たな雇用を生み、アメリカをもっと強くすると言っていた。本件はトランプ氏の方針に極めて近い内容」(「日本製鉄」の森高弘副会長兼副社長) 買収については現在、対米外国投資委員会が12月までに判断する予定です。 「現政権の中で年末までに判断が下されると思う。選挙も終わり、この案件の本質について冷静にきちんと議論できる」(森高副会長兼副社長) ※ワールドビジネスサテライト