能登半島地震から4か月 輪島市町野町出身のシナリオライター・藤本透さんが見つめる“ふるさと”の今
町野町では3月14日に第一号となる町野町第一団地が完成し、80戸の仮設住宅への入居が始まりました。 避難所などから仮設住宅へ移られたことで、行政の食料支援がなくなり、特に高齢者の方で食生活が発災時に逆戻りしてしまっているという話が聞かれます。 これまではプロパンガスのガスコンロを使ってきていた高齢者の方がIHコンロの使い方を覚えられず、自炊ができなくなり、カップラーメンなどでしのいでいるのです。 仮設住宅ができてライフラインが復旧しただけでは、元の生活に戻ることは難しく、今後もきめ細やかな支援が必要であることを改めて感じております。 4月の半ば、桜の季節になり、「町野町桜あつめ」「能登桜あつめ」というお花見の企画をX(旧Twitter)上で立ち上げたところ、多くの方に桜のお写真を届けていただきました。 雪の重みや地震の影響で折れた桜の枝にも、花が咲き、二次避難や広域避難を続ける方の癒やしになったとメッセージを頂きました。 季節は巡り、今は畑仕事や田植えをする時期です。 例年より遅れてはいるものの、災害支援団体さんやボランティアさんの力を借りて、畑に入ったがれきを撤去したり、倒壊した納屋から農機具や重い荷物の運び出しを手伝っていただいたりという話が聞かれるようになりました。 一方で、これまでの朝晩の日課は畑に行って草むしりをして、収穫した野菜を食べきれないからとほとんど近所に配って、もったないことにならずに済んだと喜ぶ…そんな日常を願いながら二次避難を続けている方も多くいらっしゃいます。 この先、町野町に戻りたいと願う人が「必ず能登に戻す」の言葉を信じて戻って来られることを、切に願うばかりです。 MRO北陸放送では、被災地の声を集め続ける藤本さんが見つめる被災地の現状をNEWS DIGで、毎月掲載します。 ------------------------------- 藤本透 シナリオライター。アプリゲーム『ノラネコと恋の錬金術』メインシナリオライター。
『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2』のシナリオ執筆に携わるほか、様々なジャンルでの執筆を手がける。 石川県輪島市町野町出身で、石川県を舞台に描かれたアニメ「花咲くいろは」の小説版を執筆。 2024年1月1日の能登半島地震発生以降、SNSを通じてふるさとの情報を日々きめ細かく発信している。
北陸放送