能登半島地震から4か月 輪島市町野町出身のシナリオライター・藤本透さんが見つめる“ふるさと”の今
また、町野町では全ての薬局が閉店してしまったため、病院に行く交通手段もなく、薬の調達さえままなりません。衣類の問題にしても、これから暑くなる夏の問題を乗り越えなければならないので、まだまだたくさんの支援が必要です。 5月2日に、国道249号、輪島市野田町の海岸沿いの区間で復旧作業が終わり、町野町からは金蔵から南志見、南志見から野田町を通って輪島市街へ入るルートが完成しました。 緊急車両や地元車両に限っての通行が認められており、報道されている箇所はアスファルト舗装がなされていますが、町野町からは砂利道の応急復旧道路の金蔵~南志見間を通る必要があり、天候や工事の状況次第では安易に通ることができない状況です。 野田町から先も、鵠巣(こうのす)地区は液状化現象の被害が大きく、道路が大きく波打っているため、運転に慣れている人さえ車酔いするほどです。 4月から新学期がはじまりましたが、町内に高校がなく、遠距離通学をしなければならない町野町では、通学手段である路線バスの不通やスクールバスの運休が高校生たちの大きな負担となっています。 輪島高校出身の私は、町野町から路線バスに乗り、市街地への最短ルートである国道249号を通って毎日通学していましたが、それでも片道60分の道程でした。今はその道さえ使うことができないのです。新学期が再開されたという報道の向こうに、このような現実があることをどうか知って頂ければと思います。 仮設住宅が完成したこともあり、町には少し人が戻ってきました。 災害ごみを出している家も増えましたが、町野町は応急危険度判定で「赤」と判定されている家屋が多く、ほとんど自分たちだけで片付けを進めている状況です。 辛うじて立ち入りができるお家でも、ボランティアさんに片付け支援をお願いすると、家財を確認しつつ行うため、全ての家財を出すことになることから、支援を諦めているご家庭もあります。 被災した家屋は、余震やこれまでの雪、雨の影響もあり、中で作業をしているとミシミシいう音が聞こえてくるそうです。